
本記事は、投資信託の分配金で月10万円を安定して得たいと考える方に向けて、目標達成に必要な資金の目安や、利回り別のシミュレーション、注意すべきリスクと実践的な運用戦略までを幅広く解説しました。

投資信託の仕組みを活かしながら、毎月のキャッシュフローを増やしたい方にとって、分配金を「ただ受け取る」だけで終わらせないための具体策を丁寧に整理。月10万円という金額が現実なのか、具体的なシミュレーションとともに見ていきましょう。
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投資信託で分配金を月10万円得る方法がわかる
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必要な元本と利回りの目安を把握できる
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分配金の税金や確定申告の基礎が理解できる
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月10万円を安定して得る運用戦略が学べる
- 投資信託の分配金で月10万円は現実的か?
- 月10万円を目指す人の運用戦略と注意点
- 分配金が特別分配の場合、資産は目減りする
- 投資信託で利益10万円の場合の税金はどのくらい?
- 投資信託を現金化するときにかかる税金とは?
- 投資信託の分配金は確定申告すべき?ケース別解説
- 新NISAで分配金を非課税にするための条件
- 投資信託の分配金で暮らすなら「副収入」として考えるべき
- 月10万円を狙うならリスクと利回りのバランスが重要
- 株式投資と投資信託、長期で分配金を得るならどちら?
- 分配金ありと再投資型、どちらが月10万に近づきやすい?
- 投資信託の運用報告書から分配金の質を見抜く
- 毎月分配で損しないための資産配分の考え方
- よくある質問Q&A10選
- 投資信託の分配金で月10万円を得るには?リスクと運用戦略を徹底解説!のまとめ
投資信託の分配金で月10万円は現実的か?
株で月10万円もらうにはいくら必要か?
月10万円の配当金・分配金を安定して得るには、利回りと元本のバランスを前提にした現実的な試算が欠かせません。
一般的な「株式の配当利回り」はおおよそ年2〜4%程度が多く、仮に年利回り3%で月10万円(=年120万円)を得たい場合、以下のような元本が必要です。
【株式配当ベースの必要元本目安】
年利回り | 必要元本(年120万円 ÷ 利回り) |
---|---|
2% | 6,000万円 |
3% | 4,000万円 |
4% | 3,000万円 |
配当金狙いの株式投資では、高配当株に絞っても年3~4%が限界で、安定して月10万円を得るには最低3,000万円程度の元本が求められる計算となります。
一方、投資信託は分配金という形で収益を受け取れる商品も多く、分配タイミングも「毎月」「隔月」「年1回」などが選べるため、資産設計の柔軟性が高いという点がポイントです。
月2万・月5万・月10万円の分配金はどのくらいで実現できる?
月10万円が難しくても、まずは「月2万円」や「月5万円」の分配金を目指す人も多くいます。
実際に必要な元本を、分配金利回りごとに比較してみましょう。
【利回り別・月額分配金の必要元本早見表】
月分配金 | 年換算分配 | 利回り3% | 利回り4% | 利回り5% |
---|---|---|---|---|
2万円 | 24万円 | 約800万円 | 約600万円 | 約480万円 |
5万円 | 60万円 | 約2,000万円 | 約1,500万円 | 約1,200万円 |
10万円 | 120万円 | 約4,000万円 | 約3,000万円 | 約2,400万円 |
このように、利回りと目標額の掛け合わせで「現実的な金額」が見えてきます。
たとえば「月5万円の分配金」を年利5%の商品で得たいなら、1,200万円の元本が必要です。
資産運用においては、“一気に月10万円”を狙うのではなく、段階的にゴールを設定することも戦略の一つです。
利回り別に試算|分配金で月10万円に必要な資金早見表
利回りごとの必要元本を具体的に把握しておくことは、運用設計の第一歩です。
以下に、年利回り3%〜7%までの条件で、毎月10万円の分配金を得るための必要資金を一覧表にまとめました。
【月10万円を得るための必要元本(年利回り別)】
年利回り | 必要元本(年120万円÷利回り) |
---|---|
3% | 4,000万円 |
4% | 3,000万円 |
5% | 2,400万円 |
6% | 2,000万円 |
7% | 約1,714万円 |
仮に6%の利回りを維持できる投資信託を使えれば、2,000万円の資金で月10万円が実現可能です。
ただし、利回りが高ければリスクも比例して増えるため、実際には4~5%程度を基準に見ておくのが現実的とされています。
また、分配金には税金がかかるため、「税引き後で月10万円」が目的の場合はさらに元本が必要になる点も注意が必要です(※後述します)。
配当金30万・100万円を得るにはいくら必要?
月10万円を狙う過程で、「まずは年30万円(=月2.5万円)」「ゆくゆくは年100万円」といった目標段階を設定する方も多くいます。
以下は、それぞれの目標に対して必要な元本の目安です。
【配当金・分配金別の必要資金(年利5%の場合)】
年間分配金 | 月換算 | 必要元本 |
---|---|---|
30万円 | 2.5万円 | 600万円 |
60万円 | 5万円 | 1,200万円 |
100万円 | 約8.3万円 | 2,000万円 |
120万円 | 10万円 | 2,400万円 |
特に、年60万〜100万円あたりは「副収入」や「セミリタイア補助」として現実的な目標とする人が多く、一部を年金や労働収入と組み合わせて生活設計を組むという方法も有効です。
投資信託と株の配当金、どちらが月10万円に向いている?
安定した分配金を毎月得たいのであれば、個別株よりも分配型投資信託の方が戦略設計しやすいといえます。
【投資信託 vs 株式投資|月10万円狙いの違い】
項目 | 投資信託(分配型) | 株式(配当金狙い) |
---|---|---|
配当頻度 | 毎月・隔月など定期的 | 半期~年1回が多い |
銘柄管理 | ファンド1本で分散済み | 複数銘柄の選定・管理が必要 |
利回りの幅 | 3〜6%前後(商品により変動) | 2〜4%が一般的 |
値動きリスク | 債券型などで抑えることも可能 | 業績連動が大きく、株価変動リスクは高め |
安定性 | 分配政策が明確なものを選べばブレにくい | 業績や配当方針変更で不安定になる可能性あり |
もちろん、個別株の方が高配当利回りを狙えるケースもありますが、分配金で生活の一部をまかなう、という目的には「計画性と安定性」が非常に重要です。
そうした意味で、分配型の投資信託は「生活収入の一部にする」目的によりマッチする選択肢といえるでしょう。
分配金で月10万を目指す現実的な考え方とは?
分配金で月10万円を得るには“利回りだけに依存しない”資産設計と、段階的なゴール設定が重要です。
多くの方が「高利回りの商品で一気に月10万円を目指す」ことを考えがちですが、そうした運用には以下のようなリスクが伴います。
そのため、まずは「月2万円」「月5万円」といった段階目標を設定し、徐々に投資額を増やしていく方法が現実的です。
さらに、一部は分配型・一部は再投資型にするなど、バランスのとれたポートフォリオを構築することが、長期的に安定したインカムを得る近道になります。
また、分配金以外にも年金や副業収入などと併用して考える「ハイブリッド型」の資金戦略を組み合わせることで、実現性が格段に高まります。
投資信託の分配金が毎月安定しない理由とは?
分配型投資信託を保有していても、毎月の分配金が一定ではないことがあるのはご存じでしょうか?
この理由は、主に以下の3つに分けられます。
【分配金が変動する主な要因】
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ファンドの収益状況によって変わる
→ 基準価額が下がると、安定的な収益が確保できず分配金を減額することがあります。 -
信託報酬や管理費などのコストが引かれる
→ いくら利益が出ても、経費が重くなると分配に回せる金額が減少します。 -
特別分配金が多いファンドは元本の払い戻しにすぎない
→ 資産が増えていないにも関わらず分配されている場合、持続性がありません。
特に、「毎月安定して高い分配金が出るファンド」は表面利回りが高く見えるため人気ですが、その分だけ“持続性の低さ”や“資産取り崩し”のリスクが高い可能性があります。
分配金で月10万円を目指すには、収益の源泉がきちんと運用益であること(=普通分配)が安定収入に不可欠な要素です。
毎月分配型の投資信託は本当に得なのか?
毎月分配型の投資信託は「現金収入を得る」という面では魅力的ですが、運用益を最大化する目的には向きません。
【毎月分配型のメリット】
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定期的に現金を受け取れるため、生活費や副収入に活用しやすい
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精神的な安心感があり、値動きに一喜一憂しにくくなる
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再投資しない層(リタイア層など)には効率的な運用方法となる
【毎月分配型のデメリット】
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元本を取り崩す「特別分配金」が含まれるケースが多い
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運用効率が落ち、資産形成スピードが鈍化する
-
再投資効果が薄れるため、長期では資産の伸びが限定されやすい
たとえば、同じ年間利回り5%でも、「再投資型」では複利効果が働く一方、「毎月分配型」では都度現金として出てしまうため、長期的な資産形成効率では差がつくことになります。
そのため、資産を取り崩す“引退後”や“副収入目的”で使うには適していますが、現役世代の資産形成には向いていないことを覚えておくべきです。
毎月分配型で「最強」と言われる投資信託の特徴
「毎月分配型で最強」とされる投資信託は、分配金の安定性・収益の持続性・資産の増減に対する耐性が高いファンドです。
具体的には、次のような特徴を持った投資信託が、実際に高評価を得ている傾向にあります。
【「毎月分配型で強い」と言われる投資信託の特徴】
特徴 | 解説内容 |
---|---|
分配金が普通分配で構成されている | 運用益から安定的に分配している証拠で、元本を削らない |
資産規模が大きく純資産残高が安定 | 解約リスクが少なく、運用効率も良くなる |
運用期間が長く分配履歴が安定 | 一時的なパフォーマンスでなく、長期にわたって信頼性がある |
世界分散型のポートフォリオ | 為替・地域・資産クラスを分散し、分配の持続力を高めている |
毎月の分配金水準が無理なく維持 | 分配利回りが極端に高すぎず、現実的な利率で運用されている |
たとえば、グローバルREITや高配当債券を中心に構成された商品には「分配力が高く、安定したキャッシュフローが得られる」として人気を集めているものもあります。
一方、利回り7〜8%といった過剰な分配金を出している投信は、裏を返せば“特別分配金(元本払戻)”である可能性が高いため、長期投資としては注意が必要です。
投資信託分配金ランキング上位の傾向を分析
投資信託の毎月分配金ランキングで上位に入るファンドには、いくつかの共通した傾向が見られます。
【ランキング上位のファンドに多い特徴】
-
高利回りの海外債券やREITへの集中投資
為替リスクはあるものの、利回り確保に直結しやすい -
グローバル分散が徹底されている
地域・通貨・資産クラスのバランスでリスクを抑制 -
純資産が1,000億円を超える大型ファンドが多い
安定した資金流入により、運用効率も高まりやすい -
5年以上の運用実績があり、分配履歴が明確
短期的な配当維持ではなく、長期の信頼感を得ている
以下に、現在人気の高いタイプ別の代表的な構成例を示します。
ファンドタイプ | 主な投資対象 | 特徴 |
---|---|---|
グローバル債券型 | 米ドル建て・新興国債券 | 高利回り、ややリスク高め |
グローバルREIT型 | 海外の不動産投資信託 | 高分配性、分配変動あり |
ハイブリッド型 | 債券+株式+REITミックス | 安定志向、多様な収益源 |
ランキング上位の商品には、それなりに「分配金を出しやすい設計」がされていますが、“高分配=安全”というわけではない点に注意が必要です。
eMAXISやS&P500型にはなぜ分配金がない?
eMAXISシリーズやS&P500連動型の投資信託には、意図的に「分配金が設定されていない」理由があります。
それは、資産形成効率を最大化するための“再投資戦略”を重視しているからです。
【分配金なし=再投資型のメリット】
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配当や利息などの収益をすべてファンド内で再投資することで複利効果が得られる
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分配金が出ないため、課税されずに資産が雪だるま式に増えていく
-
運用管理がシンプルで、再投資忘れの心配がない
とくにeMAXIS SlimシリーズやS&P500型インデックスファンドなどは、「長期で資産を育てる人向け」に設計されており、途中でお金を取り出す想定ではなく“育てる”設計になっています。
分配金を目的とする投資とは対照的に、資産総額の最大化を目指すタイプであり、配当を受け取りたい人にとってはやや目的がズレる場合もあります。
したがって、「今は働いていて、分配金より資産増を重視したい」という人には適していても、「毎月のキャッシュが必要」な人には分配型の方が向いていることになります。
月10万円を目指す人の運用戦略と注意点
分配金が特別分配の場合、資産は目減りする
分配金には2種類あることをご存じでしょうか?
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普通分配金:運用益から支払われる実質的な利益
-
特別分配金:元本の一部を払い戻しているにすぎない金額
このうち特別分配金は「元本払い戻し」であるため、分配を受けるたびに資産が目減りしているということになります。
【普通分配と特別分配の違い】
分配金の種類 | 原資 | 課税対象 | 資産影響 |
---|---|---|---|
普通分配金 | 運用益 | 課税あり | 資産そのまま |
特別分配金 | 自分の元本 | 非課税 | 資産が減る |
たとえば、10万円の分配金のうち9万円が特別分配である場合、資産の大部分を自分で“切り崩して”受け取っている状態です。
これは一見、配当利回りが高く見えるファンドでも、実際は資産が減っているだけというケースにつながります。
投資信託の月次レポートなどでは、分配金の内訳が公開されていますので、普通分配が続いているかどうかを定期的にチェックすることが、資産維持には欠かせません。
投資信託で利益10万円の場合の税金はどのくらい?
投資信託で運用益や分配金を得た場合には、原則として20.315%の税金がかかります(所得税15.315%+住民税5%)。
では、実際に利益10万円が出た場合の税金額はどのくらいになるでしょうか。
【利益10万円時の税金と手取り額】
内容 | 金額 |
---|---|
利益額 | 100,000円 |
税額(20.315%) | 約20,315円 |
手取り額 | 約79,685円 |
つまり、実際に受け取れるのは約8万円弱となります。
これは、分配金を受け取ったときも同様に課税されるため、「分配金が月10万円あるから10万円自由に使える」というわけではありません。
さらに、特定口座(源泉徴収あり)で運用していれば自動で税金が引かれますが、一般口座やNISAでは扱いが異なるため、制度の違いを理解しておくことも大切です。
税引後で月10万円を目指すなら、「月額で12万5,000円ほどの分配金」が必要になる計算となります。
投資信託を現金化するときにかかる税金とは?
投資信託を解約・売却して現金化した場合、「値上がり益」が出ていれば譲渡所得として課税されます。
これは分配金とは異なり、基準価額の上昇による「含み益」が確定したタイミングで課税される点がポイントです。
【税金の仕組み:投資信託の売却益】
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利益が出た場合:利益額 × 20.315%
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損失が出た場合:確定申告で他の利益と損益通算が可能(特定口座なら自動)
たとえば、10万円で購入した投資信託が12万円に値上がりし、売却した場合:
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売却益:2万円
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税金:約4,063円(2万円 × 20.315%)
-
手取り:11万5,937円
このように、現金化の際は「購入時との差額(=キャピタルゲイン)」が課税対象となり、税引後の手取りに差が出ます。
また、長期投資で利益が大きくなればなるほど、この課税インパクトも大きくなるため、売却タイミングやNISA活用の有無が重要な戦略ポイントとなります。
投資信託の分配金は確定申告すべき?ケース別解説
投資信託の分配金は、「確定申告しなければいけないケース」と「しない方が有利なケース」「した方が有利なケース」に分かれます。以下にパターン別で整理します。
【確定申告が必要・有利・不要なケースまとめ】
ケース | 確定申告の必要性 | 補足・ポイント |
---|---|---|
特定口座(源泉徴収あり)で完結している | 不要 | 自動で納税が済んでいる状態 |
特定口座(源泉徴収なし)・一般口座利用 | 利益20万円超で必要 | 給与所得者の場合は副収入合算で判断 |
他の口座で損失があり損益通算したい場合 | 有利な場合がある | 申告することで節税できる可能性がある |
所得が少なく、住民税を減らしたい場合 | 有利な場合がある | 「住民税申告不要制度」の活用など |
年間分配金20万円未満、給与のみ(副業なし) | 原則不要 | 条件に合えば申告しなくても問題なし |
とくに、「複数の投資信託や証券会社を利用している人」や「投資信託で損失を出した年」は、損益通算を活用することで翌年以降の税負担を軽くできる可能性があります。
そのため、申告の有無を「義務かどうか」だけで判断せず、“有利になるか”という観点でも確認することが大切です。
新NISAで分配金を非課税にするための条件
新NISA(2024年以降の制度)では、対象投資信託からの分配金を非課税で受け取ることが可能です。
これは、特定口座や一般口座では通常20.315%の税金がかかるのに対し、NISA口座内で得た分配金や売却益は、一定の非課税枠内であればすべて非課税となる点が最大のメリットです。
【新NISA制度のポイント(2024年〜)】
区分 | 年間投資枠 | 非課税保有限度額 | 非課税期間 | 対象資産 |
---|---|---|---|---|
成長投資枠 | 240万円 | 合計1,800万円 | 無期限 | 株式・アクティブファンド等 |
つみたて投資枠 | 120万円 | 合計1,800万円 | 無期限 | 低コスト・長期投資向け投信 |
※成長投資枠とつみたて枠は併用可、枠の合計が1,800万円まで。
つまり、成長投資枠を活用して分配型の投資信託を購入すれば、そこから得られる分配金も非課税で受け取れることになります。
ただし、NISA対象となる商品には制限があります。たとえば「毎月分配型」は制度上の対象外となるケースが多く、四半期または年1回分配のファンドであれば対象になる可能性が高いです。
【NISAで分配金を非課税にする条件】
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NISA口座内で商品を購入していること
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分配金が口座内で発生していること(特定口座ではNG)
-
対象ファンドであること(分配頻度が高すぎるものは対象外)
分配金で月10万円を狙うのであれば、一部はNISAで非課税受取、残りは特定口座で運用といった“二刀流”の使い分けが有効です。
投資信託の分配金で暮らすなら「副収入」として考えるべき
投資信託の分配金で月10万円を得ることは可能ですが、「完全な生活費」とするのではなく“副収入”として位置づけるのが現実的です。
理由としては、以下のような点が挙げられます。
-
分配金は将来的に減額される可能性がある
-
インフレや生活費の変動には対応しきれない
-
元本を取り崩す特別分配型だと資産が減少するリスクがある
特に老後資金などで「安定収入源がほしい」という人にとって、分配金は“補助的な収入源”としての活用が適しているという考え方が主流です。
たとえば以下のような組み合わせが現実的です。
【月10万円の生活支出に対する副収入モデル】
収入源 | 月額の目安 | 備考 |
---|---|---|
公的年金 | 約6〜7万円 | 夫婦世帯ならさらに増加可 |
分配型投信の収入 | 約3〜4万円 | NISA+特定口座の併用で非課税化可 |
このように分配金だけに頼らず、「年金+分配金」「バイト+分配金」といった併用が長期的な生活の安定性を高める要素になります。
月10万円を狙うならリスクと利回りのバランスが重要
月10万円の分配金を得るには、利回り5〜6%のファンドが必要になるケースが多くなります。
ですが、高利回りの商品は“高リスク”でもあることを忘れてはいけません。
【利回りが高くなるほどリスクも上がる理由】
実際、年利7%をうたうファンドの多くは、「分配金が高くても基準価額が下がり続けている」状態にある場合が多く、資産形成には不向きです。
そのため、以下のようなバランス戦略”が月10万円の現実的な運用方針になります。
【月10万円狙いの現実的な戦略】
-
利回り4〜5%程度のファンドに分散投資
-
高利回りファンドは一部だけにとどめる
-
分配の出方を定期的に確認して、資産維持を重視する
投資信託で分配金を得ること自体は十分に可能ですが、利回りだけを追いすぎると「資産が先に尽きる」というリスクがあるため、利回りとリスクの適切なバランスを保つことが最重要です。
株式投資と投資信託、長期で分配金を得るならどちら?
長期的に安定した分配金を得る目的であれば、投資信託の方が「分散性」と「管理の手軽さ」で優れていると言えます。
【比較表:株式 vs 投資信託】
項目 | 株式投資(高配当株) | 投資信託(分配型) |
---|---|---|
配当の頻度 | 年1〜2回(企業による) | 毎月・隔月など選べる |
銘柄管理 | 自分で選定・組み替えが必要 | ファンドにお任せで自動分散 |
分散効果 | 複数銘柄を選べば可能だが手間が大 | 1本で数十〜数百銘柄に投資されている |
リスク管理 | 業績悪化による無配リスクあり | 複数資産に分散され、安定しやすい |
税金対応 | 配当は課税対象、管理に注意が必要 | 特定口座であれば自動処理される |
高配当株は「インカムゲイン」の代表格として魅力がありますが、企業業績に左右されやすく、配当の安定性という意味ではばらつきが大きい傾向があります。
一方で、投資信託は銘柄分散・運用一任・定期分配という点で長期向き。
自分で銘柄を選ばなくても、分配金を受け取る仕組みが構築されているため、月10万円を目指すような計画的運用には向いています。
分配金ありと再投資型、どちらが月10万に近づきやすい?
「分配金あり型」は月10万円の“受け取り”には有利ですが、“到達”には時間がかかる可能性があります。
ここでの違いをはっきりさせるために、以下の表をご覧ください。
【分配型 vs 再投資型の比較】
タイプ | 特徴 | 月10万円との関係 |
---|---|---|
分配金あり型 | 分配金を現金で受け取れる。即収入になる | 月10万円の受け取りをすぐに実感できる |
再投資型 | 分配金を自動で再投資し、複利効果が働く | 資産は増えるが現金は受け取れない |
たとえば、再投資型で10年運用し、その後に分配型に切り替えることで「育てた資産から月10万円を得る」仕組みにもできます。
【戦略例】
-
30〜40代:再投資型で資産を増やす
-
50代以降:分配型に切り替えて月10万円の現金収入へ
このように、最初から分配型にせず、資産が増えた段階で分配型にスイッチする戦略が効果的です。
どちらが良いかは「現金収入が今すぐ必要か、将来的で良いか」で判断しましょう。
投資信託の運用報告書から分配金の質を見抜く
投資信託の分配金が「良質」か「危険」かを見極めるには、運用報告書や月次レポートを定期的に確認することが重要です。
分配金の質を見抜く3つの視点
-
普通分配と特別分配の割合
→ 普通分配が多ければ収益性が高く、特別分配が多ければ元本切り崩しの可能性が高い -
基準価額の推移
→ 分配金を出し続けていても基準価額が右肩下がりなら、長期で資産が減少している可能性がある -
分配方針の変更履歴
→ 過去に急な減配や分配停止があれば、今後も安定性に疑問が残る
月次レポートでの見方
項目 | 理想的な状態 |
---|---|
分配金の種類 | 普通分配が中心 |
基準価額 | 安定orやや上昇傾向 |
分配履歴 | 減配・停止が少なく安定 |
こうした情報はファンドの月次レポート・交付運用報告書に記載されていますので、購入後も定期的にチェックし、「出ている分配金の中身」を把握する姿勢が大切です。
毎月分配で損しないための資産配分の考え方
毎月分配型の投資信託に“全額集中”するのではなく、分配型と成長型をバランスよく組み合わせた資産配分が、月10万円を安定的に得るための鍵です。
【なぜ資産配分が重要なのか?】
毎月分配型ファンドは「現金収入」に強い反面、以下のようなリスクを抱えています。
そこで重要になるのが、「毎月分配型に頼りすぎない」資産配分設計です。
【おすすめの分配重視ポートフォリオ例】
資産タイプ | 割合目安 | 役割 |
---|---|---|
毎月分配型ファンド | 40~60% | 月々の安定収入を確保する |
再投資型投信 | 20~30% | 資産の成長と将来の分配金に備える |
インデックス投信 | 10~20% | 長期成長+値下がりリスクを抑える役割 |
現金・預金 | 10~20% | 緊急資金としての安全資産 |
このように、「収入」と「資産形成」のバランスを取ることで、分配金で月10万円を得つつ、将来のリスクにもしっかり備えることができます。
よくある質問Q&A10選
Q1. 投資信託の分配金で月10万円を得るにはいくら必要?
A. 年利回り5%のファンドなら2,400万円、4%なら3,000万円が目安になります。
Q2. 分配金はどのくらい税金がかかる?
A. 通常は20.315%(所得税+住民税)が引かれます。特定口座なら自動処理されます。
Q3. 毎月分配型は本当にお得なの?
A. 安定収入が得られる反面、資産成長の効率は劣ります。目的に応じて使い分けが必要です。
Q4. 分配金で暮らすのは可能?
A. 年金や他の副収入と組み合わせれば可能ですが、単独での生活はリスクもあります。
Q5. 再投資型と分配型、どちらが有利?
A. 再投資型は資産増に強く、分配型は現金収入が欲しい人に適しています。
Q6. 投資信託の売却にも税金がかかる?
A. はい。値上がり益が出た場合には20.315%の譲渡課税がかかります。
Q7. 新NISAで分配金は非課税になる?
A. NISA口座内で購入した対象ファンドの分配金は非課税になります。
Q8. 分配金が減ることもある?
A. はい。ファンドの収益状況により、減配や分配停止になることもあります。
Q9. 高利回りの分配型ファンドは危険?
A. 特別分配中心の場合、元本を削っている可能性があるので要注意です。
Q10. 投資信託の分配金はいつもらえる?
A. 毎月・隔月・年1回など、ファンドによって異なります。購入時に要確認です。
投資信託の分配金で月10万円を得るには?リスクと運用戦略を徹底解説!のまとめ
最後にこの記事のポイントをまとめました。
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