
利回りの高さで注目を集めている楽天の社債。ですがその一方で、「危険なのでは?」「本当に返ってくるのか?」という不安の声も多く聞かれます。特に楽天モバイルの赤字や格付けの低さを背景に、慎重に判断したいと考える投資家も増えています。

本記事では、楽天社債の仕組みや財務状況、実際に考慮すべきリスクと投資判断のポイントを、2025年4月時点の最新情報に基づいてわかりやすく解説します。
- 楽天社債の特徴と高利回りの理由がわかる
- 楽天の財務状況とモバイル赤字の影響を整理
- 楽天社債が危険とされる背景とリスクを解説
- 他商品との違いや投資判断のポイントを紹介
楽天の社債は本当に危険なのか?話題の背景と基本情報
楽天グループの財務状況【2025年4月時点】
楽天グループは、2025年4月現在も高水準の有利子負債を抱えつつ、グループ全体での収益改善に取り組んでいます。
2024年度通期決算では、楽天カードや楽天証券などの金融事業が堅調であった一方、楽天モバイル事業の赤字が依然として業績全体に影響を与えています。
財務データ(2025年4月時点 最新)
項目 | 金額(2024年末時点) |
---|---|
売上高 | 約2兆円(前年比+約10%) |
経常損益 | 約▲3,000億円(赤字縮小傾向) |
有利子負債残高 | 約1.9兆円 |
自己資本比率 | 約8〜9%台(業界平均より低水準) |
とくに有利子負債の多さと、楽天モバイルへの先行投資の影響が「財務の脆弱性」=社債の返済リスクとして語られる一因となっています。
また、楽天グループは2025年も引き続き社債の発行を続けており、既発社債の償還と新規発行が繰り返されている構造に対して懸念の声もあります。
赤字の要因は楽天モバイル?黒字化の見通しは?
楽天グループの赤字が続いている最大の要因は、楽天モバイルの基地局整備・設備投資コストです。
2020年から本格参入した通信事業は、累計赤字が1兆円を超えるとも言われており、毎年数千億円規模の営業赤字が続いてきました。
モバイル事業の現状(2025年4月)
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利用者数は1年で約400万人から520万人に増加
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ただしARPU(1契約あたりの月間収益)は低く、黒字化には至らず
-
設備費用圧縮・KDDIローミングコスト削減などで赤字幅は縮小中
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2025年内の黒字転換は「金融・物流連携が機能すれば可能性あり」との見方も
楽天グループは、楽天カード・証券・市場(EC)・トラベルなどでのクロスユース戦略を強化しており、これらの相乗効果でモバイル事業の黒字化を狙う構造です。
楽天の社債とは?種類と概要を解説
楽天グループは、2020年以降、資金調達手段として個人向け社債を積極的に発行しています。
特に2022年から2024年にかけては、楽天モバイル関連の設備投資を背景に、高利回りの社債が頻繁に登場し、注目を集めました。
過去に発行された主な楽天社債の例
発行年 | 名称 | 利率(年率) | 償還期間 |
---|---|---|---|
2022年 | 第25回無担保社債 | 2.00% | 5年 |
2023年 | 第28回無担保社債 | 3.30% | 5年 |
2024年 | 第31回無担保社債 | 3.90% | 5年 |
これらはいずれも「楽天グループ株式会社」が発行する無担保・劣後条項なしの通常社債で、個人投資家向けに広く販売されました。
社債の販売チャネルは主に以下の通りです。
「利回りが高い」という魅力から人気を集めやすい一方で、社債という性質上、元本保証はなく、楽天の信用リスクを直接的に負う商品である点は見逃せません。
楽天モバイル債とは何か?特徴と注意点
「楽天モバイル債」という名前で語られることがある社債は、楽天グループが発行する通常の社債のうち、楽天モバイル事業の資金調達を目的としていると明示された社債を指します。
たとえば、2023年に発行された「第28回無担保社債」は、発行資料にて「モバイルネットワーク関連の設備投資費用に充当」と明記されていました。
このような用途特化型の社債が俗に「楽天モバイル債」と呼ばれています。
注意点
-
法的には「楽天グループ株式会社」の発行であり、モバイル事業単体が倒産しても即座に無価値になるわけではない
-
ただし、用途が明示されている以上、その事業の業績が悪化すれば返済懸念として市場に影響を与える可能性あり
-
一部の証券会社サイトやSNSでは「楽天モバイル債=危険」というイメージで語られやすく、投資初心者には誤解されやすい
要するに、楽天モバイル債とは正式名称ではなく、使途特化型の楽天社債に対して付けられた通称です。
実態を正しく理解し、表面的なイメージに惑わされず判断することが重要です。
利率が高いのはなぜ?他社社債との比較
楽天社債が注目される大きな理由のひとつは、他の大手企業の社債と比較して利率が高めに設定されている点です。
たとえば、同じ年に発行された以下の社債を比較すると、楽天社債の利回りは明らかに高い水準にあります。
2024年発行の主な社債比較(年利・期間)
発行企業 | 利率(年率) | 償還期間 | 備考 |
---|---|---|---|
楽天グループ | 約3.9% | 5年 | 楽天モバイル関連費用に充当 |
トヨタファイナンス | 約0.6% | 5年 | 安定企業、信用格付けAA+ |
NTTファイナンス | 約0.9% | 5年 | 通信系、信用格付けAA |
この差は、楽天の信用格付けや財務リスクの高さが金利に反映されているためです。
つまり「高い利率=高い収益性」とは限らず、高い利率は高いリスクの裏返しでもあるという点に注意が必要です。
なぜ楽天社債は高金利なのか?
-
楽天グループの信用格付けが相対的に低い(※BBB前後)
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グループ全体の収益性に不透明感が残る
-
投資家に魅力を持たせるため、リスクプレミアムを上乗せしている
高利回りに魅力を感じたとしても、企業の財務体力・債務状況などを併せて評価することが肝要です。
社債の購入方法とどこで買えるか?
楽天社債の購入は、証券口座を通じて市場で直接購入する形式が基本です。
以下は、個人投資家が楽天の新発社債を購入する一般的な流れです。
購入ステップ(新発社債の場合)
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証券会社での口座開設(楽天証券、SBI証券などが中心)
-
募集開始のお知らせを確認(メール通知 or ウェブサイト)
-
購入申込(単位は10万円程度からが一般的)
-
約定・購入完了(抽選の場合もあり)
-
償還期日まで保有 or 中途売却
楽天の社債は、主に以下の証券会社で取り扱われることが多いです。
-
✅ 楽天証券(主幹事であることが多い)
-
✅ SBI証券
-
✅ 野村證券、SMBC日興証券など大手証券(対面中心)
中古(既発)社債を購入したい場合
証券会社の「債券マーケット」から既発社債が掲載されることがあります。
ただし、発行時よりも価格が上下するため、利回りや償還までの期間を確認して購入判断する必要があります。
途中解約や償還前売却は可能か?
楽天社債は一般的な社債と同様、原則として途中解約はできません。
ただし、償還期日前に現金化したい場合は、証券会社を通じて市場で売却することが可能です。
中途換金の方法と注意点
方法 | 内容 | 注意点 |
---|---|---|
証券会社経由で売却 | 所有する社債を市場で他の投資家に売却する | 市場価格が下がっていれば元本割れの可能性あり |
転売価格は変動制 | 金利や企業の信用状況によって価格が変動する | 発行時の価格(100円)より安くなる場合がある |
売却できない場合も | 流動性が低く、買い手がつかないケースもある | 特に金利上昇時は売却難のリスクが高まる |
格付けから見る信用リスク
社債の信用リスクを判断する上で、格付会社による評価(信用格付け)は非常に参考になります。
楽天グループの社債には、複数の格付機関から以下のような評価が付されています。
2025年4月時点 楽天グループの主要格付け
格付機関 | 格付け | 評価 |
---|---|---|
R&I(格付投資情報センター) | BBB | 投機的水準の一歩手前、信用リスクあり |
JCR(日本格付研究所) | BBB+ | 安定的、ただし上位格付けとは差あり |
Moody’s(モーニーズ) | Ba1 | 投資不適格(いわゆるジャンク債)に相当 |
格付けが下がるとどうなる?
-
社債価格が下落する(売却時に損失リスク)
-
新規発行社債の利回りがさらに上昇する
-
投資家心理が悪化し、資金調達に影響が出る可能性も
こうした点を踏まえると、楽天社債は「金利が高い=魅力的」ではなく、信用力とのバランスを理解した上で検討すべき投資対象といえます。
なぜ「やばい」「危険」と言われるのか?
「楽天モバイル債はやばい」「楽天社債が危険」などとネット掲示板などで散見される背景には、高利回りゆえの不安感と、楽天グループの財務構造に対する世間の懸念があると考えられます。
懸念されている主な理由
-
モバイル事業の赤字がグループ全体の財務を圧迫している
-
高い利回り(例:3.9%)が「裏に何かあるのでは」と思わせる
-
格付けが投資適格ギリギリで、万が一のリスクを連想しやすい
-
SNSや掲示板で「楽天潰れるのでは?」という投稿が定期的に拡散されている
実際に、楽天グループの倒産リスクは現状では高くはありませんが、「モバイル事業の赤字=経営不安」という短絡的な認識が広まり、心理的に“危険”と感じられやすい状況になっています。
楽天の社債は本当に危険なのか?話題の背景と基本情報
元本割れの可能性と返済順位の仕組み
楽天社債を検討するうえで、元本保証がないことと返済順位の低さは必ず理解しておくべきリスクです。
元本割れが起きる2つのケース
-
償還前に市場で売却し、価格が下落していた場合
→ 市場金利上昇や信用格付けの低下で社債価格が下がると、売却時に損失が発生します。 -
発行体である楽天グループが債務不履行(デフォルト)を起こした場合
→ 返済が滞ったり、企業が破綻した場合には、投資元本の一部または全部が戻らない可能性があります。
社債の返済順位とは?
楽天社債は「無担保・劣後でない普通社債」として発行されることが多いですが、万一の場合は次のような順で返済されます。
順位 | 返済優先度 | 備考 |
---|---|---|
1位 | 担保付き債権者(例:銀行ローン) | 資産に優先的権利を持つ |
2位 | 一般社債権者(楽天社債の投資家など) | 無担保でも優先権あり |
3位 | 劣後債権者 | 損失リスクが高い |
最後 | 株主 | 配当や資産分配を最後に受け取る |
つまり、楽天社債が「最も危険」というわけではありませんが、預金のような安全資産とは明確に性質が異なる点を理解しておく必要があります。
有利子負債の水準と財務レバレッジ
楽天グループの財務状況を評価するうえで、有利子負債の水準とレバレッジの高さは重要な観点です。
2025年4月時点でも、有利子負債は依然として大きく、社債の信用評価にも影響を与える要因となっています。
有利子負債の内訳(推定)
項目 | 金額(2024年末時点) |
---|---|
楽天グループ連結有利子負債 | 約1.9兆円 |
うち楽天モバイル関連借入 | 約1.2兆円(基地局整備・端末補助など) |
これに対して、自己資本比率は約8〜9%台とやや低く、財務レバレッジ(負債依存度)は高めです。
📉 財務レバレッジが高いことの影響
-
利払い負担が大きく、業績が悪化した際のキャッシュフロー余力が限られる
-
金利上昇局面では、新規社債の発行コストが増加する
-
財務健全性に対する市場の懸念が高まりやすい
とはいえ、楽天は資産売却や上場子会社の配当収入を通じて、一定の資金確保策も講じており、即座に資金繰りが破綻する状況にはないと見られています。
社債と預金・投資信託との違い
楽天社債を購入検討する際には、「預金」「投資信託」との性質の違いを明確に理解しておく必要があります。
同じく“お金を預ける”という点では似ていますが、元本の安全性や運用目的が大きく異なります。
各商品の比較表
項目 | 社債(楽天社債) | 銀行預金 | 投資信託 |
---|---|---|---|
元本保証 | なし | あり(1,000万円まで) | なし |
途中解約 | 市場売却は可、元本割れリスクあり | 原則自由 | 解約可、基準価額で評価 |
利回り | 高め(例:3〜4%) | 低め(定期0.01〜0.2%程度) | 商品による(変動制) |
リスク | 発行体の信用リスク | 銀行の信用リスク(低い) | 市場リスク・運用リスク |
楽天社債は、「銀行預金より高い利回りを求めるが、ある程度のリスクも取れる層」に向いた商品です。
一方で、安全性を最重視する場合や、柔軟に資産を動かしたい場合は、他の商品と組み合わせてバランスを取ることが大切です。
高利回りの裏にあるリスクとは?
楽天社債は、他の大手企業の社債と比べて年利3〜4%台の高利回りであることが特徴です。
一見魅力的に感じられるこの数字ですが、裏にはいくつかのリスク要素が存在します。
高利回りの背景にある3つのポイント
-
楽天グループの信用格付けが低いため
→ 投資家にとってのリスクが高い分、利回りが上乗せされています。 -
財務構造に不安要素があるため
→ 楽天モバイル事業の赤字、1兆円を超える有利子負債が利回りに反映されています。 -
長期保有が前提の商品であるため
→ 市場価格の変動リスクや流動性リスクがあることを考慮した上での設計です。
高い利回りは、その企業が市場から資金を集めにくいことを意味する場合もあります。したがって、楽天社債を購入する際には、「なぜこれほど高利回りなのか」という構造的理由を把握した上で判断することが重要です。
個人投資家の口コミや評価の傾向
楽天社債は、SNSや掲示板などでも話題に上がることが多く、個人投資家からは「利率の高さ」と「不安定さ」が両面で語られている傾向があります。
よく見られる声(ポジティブ)
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「3.9%は魅力的、定期預金の代わりに購入した」
-
「満期まで保有すれば問題ないと割り切って買っている」
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「楽天グループはブランドが強いので潰れる可能性は低いと考えている」
見られる懸念(ネガティブ)
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「モバイルの赤字を聞くと本当に大丈夫か不安になる」
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「利回りが高すぎて逆に不安」
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「楽天証券に保有していても評価損益がマイナスになっていることがある」
投資家の声には温度差があり、どこにリスクを感じるか・どれだけ許容できるかによって評価が分かれています。
そのため、自分自身のリスク許容度と照らし合わせて判断することが大切です。
楽天グループの将来性と投資判断
楽天グループは、楽天市場や楽天カードをはじめとする金融・EC事業では安定的な収益基盤を持っています。
一方で、楽天モバイル事業が黒字化できていないことが、グループ全体の評価を押し下げている現状です。
楽天グループの強みと弱み
項目 | 内容 |
---|---|
強み | 楽天カード・証券・市場など複数の黒字事業を持つ構造的収益モデル |
弱み | モバイル事業の赤字がグループ財務を圧迫/有利子負債の多さ |
改善点 | 赤字縮小の傾向あり/基地局整備の進展でコスト減期待 |
将来性としては、グループ間の連携によるシナジー戦略が鍵となります。
楽天経済圏の中で、通信と金融・ECが統合されれば、LTV(顧客生涯価値)の最大化が可能となる構造です。
📌 投資判断の視点
-
短期的には社債の信用リスクを含む不安定な面がある
-
中長期では、モバイル事業の黒字転換が見えてくれば再評価の余地もあり
-
安定志向の投資家にとっては「今はまだ慎重に見極める段階」と捉える声も少なくない
社債を選ばないという選択肢もある
楽天社債のような高利回りの商品には魅力もありますが、リスクを十分に理解したうえで選択する必要があります。
もし「企業リスクが気になる」「元本を重視したい」という場合には、他の選択肢を検討するのも有効な判断です。
社債以外の検討候補
選択肢 | 特徴 |
---|---|
国債 | 信用性が非常に高く、元本リスクが極めて低い(その分利回りは低い) |
投資信託(債券型) | 分散効果があり、個別企業リスクを避けられる |
定期預金 | 安全性は高いが、超低金利下では実質的な利回りは期待できない |
米ドル建て社債・ETF | 分散+外貨による金利優位性を狙える(為替リスクあり) |
楽天社債に魅力を感じたとしても、ポートフォリオ全体で考えれば「一部だけ保有」「代替手段で分散」といった視点が重要です。
安全資産とリスク資産のバランスを意識することで、結果的に長期的な資産形成の安定性につながります。
よくある質問Q&A10選
Q1:楽天の社債の利率はどれくらいですか?
A:発行時期によって異なりますが、2023〜2024年は年利3.3〜3.9%と高めに設定されています。他社の社債よりも利回りが高いのが特徴です。
Q2:楽天の社債は元本保証されますか?
A:元本保証はありません。楽天グループの信用状況により、元本割れや償還不能のリスクがあります。
Q3:楽天グループは現在赤字ですか?
A:2024年度はモバイル事業の影響で赤字が続いていますが、黒字事業も多く、収益構造の改善が進められています。
Q4:楽天の社債は途中解約できますか?
A:解約制度はありませんが、保有社債を市場で売却することは可能です。ただし、売却価格によっては損失が出ることがあります。
Q5:楽天社債の格付けはどの程度ですか?
A:格付けはBBB前後で、投資適格の下限に位置します。信用リスクが一定程度ある水準とされています。
Q6:楽天モバイル債と通常の楽天社債に違いはありますか?
A:「楽天モバイル債」は通称で、正式な違いはありません。ただし、使途にモバイル投資が明記された社債がこう呼ばれています。
Q7:楽天の社債はどこで買えますか?
A:楽天証券やSBI証券などのネット証券、大手証券の店頭窓口で取り扱われることが一般的です。
Q8:楽天が潰れたら社債はどうなりますか?
A:破綻した場合、社債は無担保債権として扱われ、他の債権者と同じ返済順位になります。元本が戻らない可能性もあります。
Q9:楽天の社債が危険と言われる理由は何ですか?
A:モバイル事業の赤字、有利子負債の大きさ、信用格付けの低さが背景にあります。利回りの高さはそのリスクを反映したものです。
Q10:社債よりも安全な商品には何がありますか?
A:元本保証のある定期預金や個人向け国債などがあります。安全性は高いですが、利回りは低めです。
楽天の社債は危険?購入前に知っておきたいリスクと注意点を徹底解説のまとめ
最後にこの記事のポイントをまとめました。
参考出典元:
1. 楽天グループの財務情報(売上高、有利子負債、赤字額など)
2. 社債発行情報(第25回〜第31回無担保社債の利率・償還期間)
3. 信用格付け(R&I、JCR、Moody’s)
4. 他社社債との利率比較(NTTファイナンス、トヨタファイナンスなど)
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