
本記事は、「年金はいつからもらえるの?」「何歳までもらえるのか不安…」といった疑問を持つ方のために、年金の受給年齢の仕組みや注意点をわかりやすく解説します。
年金制度は、単に“もらえるかどうか”だけでなく、税金や引かれるもの、繰上げ・繰下げの選択肢、さらには将来必要な老後資金まで、知っておくべきポイントが多くあります。
この記事では、公式な年金データと計算シュミレーションに基づき、損をしないための知識と準備法を徹底的に解説していきます。
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年金がいつから・何歳までもらえるかがわかる
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年金の受給年齢と繰上げ・繰下げの仕組みが理解できる
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年金から引かれるものや税金の内容がわかる
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年金と老後資金の計算シュミレーション方法が学べる
- 年金はいつから・何歳までもらえる?
- 年金は何歳からもらえる?基本の受給年齢とは?
- 年金は何歳までもらえる?支給期間の仕組み
- 年金は60歳からもらえる?繰上げ受給の条件と注意点
- 65歳が基本?年金支給開始年齢の早見表
- 繰下げ受給とは?75歳まで遅らせるメリット・デメリット
- 62歳からもらえる年金の種類と対象者
- 昭和35年生まれの人の年金受給開始年齢は?
- 女性の年金支給年齢は男性と違う?
- 特別支給の老齢厚生年金とは?もらえない人の特徴
- 年金はいつからもらうのが得?寿命とのバランスシミュレーション
- 年金は60歳と65歳どちらが得?具体的に比較してみた
- 申請しないともらえない年金とは?自動じゃない制度に注意
- 共済年金の受給年齢は?公務員や教職員はどうなる?
- 年金特別給付金の対象者とは?条件と申請方法
- 2025年の年金支給日はいつ?偶数月15日のしくみをチェック
- 年金の引かれるもの・税金・計算シミュレーション
- 年金にかかる税金は?所得税と住民税の基本
- 年金から引かれるもの一覧【保険料・介護保険料など】
- 年金生活における健康保険・介護保険料の負担
- 年金を月15万円もらうにはどれくらい収入が必要?
- 年金を月20万円もらうためのシミュレーション
- 厚生年金の満額は44年でいくら?長期加入者の実例
- 厚生年金を40年間払ったらいくらもらえる?
- 専業主婦の年金はいくら?第3号被保険者の仕組み
- 老齢基礎年金は月いくら?最新支給額と計算式
- 老後資金として年金はいくら必要?生活費から逆算
- 2025年の年金支給額は上がる?最新の支給額をチェック
- よくある質問Q&A10選
- 年金はいつから・何歳までもらえる?引かれるものや税金の計算シミュレーション!のまとめ
年金はいつから・何歳までもらえる?
年金は何歳からもらえる?基本の受給年齢とは?
年金の基本的な受給開始年齢は「65歳」です。
これは老齢基礎年金も老齢厚生年金も共通しています。
この制度は、日本年金機構の公式資料によると、受給資格期間が10年以上あることが条件となっています。
2017年(平成29年)までは25年必要でしたが、現在は法律改正により10年に短縮されました。
つまり、国民年金・厚生年金を合わせて10年以上保険料を納めていれば、原則として65歳から年金を受け取ることができます。
注意点として、自動で支給されるわけではなく、請求手続きが必要です。
請求しなければ、たとえ条件を満たしていても年金は支給されません。
受給を希望する場合は、65歳の誕生日を迎える3か月前を目安に、日本年金機構から送付される「年金請求書」に基づき申請手続きを行いましょう。
年金は何歳までもらえる?支給期間の仕組み
多くの方が気になるのが「年金って何歳までもらえるの?」という点かもしれません。
答えはシンプルで、原則として生涯にわたって支給されます。
つまり、65歳から年金を受給し始めた後は、亡くなるまで毎月もしくは偶数月にまとめて支給される仕組みです。
定年後の収入源として非常に重要な役割を果たす年金ですが、終身年金であることが最大の安心材料です。
ちなみに、年金には「老齢年金」のほかに、「遺族年金」「障害年金」などの制度もあります。
これらは状況によっては併給できないケースもあるため、早めに制度全体を理解しておくことが大切です。
年金は60歳からもらえる?繰上げ受給の条件と注意点
実は年金は、60歳から前倒しで受け取る「繰上げ受給」という制度があります。
働いていない、もしくは生活資金が不足するなどの理由で、65歳まで待てない人には選択肢となります。
ただし、この制度には減額のリスクがあります。
具体的には、1か月繰り上げるごとに0.4%(昭和37年4月2日以降生まれの方)年金額が減額され、最大で24%の減額になります。
しかもこの減額は一生変わりません。
たとえば60歳から繰上げ受給した場合、65歳から受け取った場合と比較して、毎月の年金額が約24%少なくなります。
これは「健康に自信がある」「長生きする可能性がある」人にとっては大きな損失につながることもあります。
また、繰上げ受給を選択すると、障害年金や寡婦年金などの一部制度が利用できなくなる可能性がある点も注意が必要です。
65歳が基本?年金支給開始年齢の早見表
前述した通り、年金支給の基本は65歳です。
ただし、「特別支給の老齢厚生年金」など、特定の条件を満たす場合は60歳代前半から一部年金を受け取ることができます。
以下は生年月日別の支給開始年齢の一例です(男性)。
生年月日 | 支給開始年齢(報酬比例部分) |
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昭和33年4月2日~昭和35年4月1日 | 61歳 |
昭和35年4月2日~昭和37年4月1日 | 62歳 |
昭和37年4月2日~昭和39年4月1日 | 63歳 |
昭和39年4月2日~昭和41年4月1日 | 64歳 |
昭和41年4月2日以降 | 65歳 |
このように、生年月日や性別によって特別支給の開始年齢は異なるため、自分がどのグループに該当するかを確認しておくと安心です。
繰下げ受給とは?75歳まで遅らせるメリット・デメリット
年金は65歳から受け取るのが基本ですが、あえて受給を遅らせる「繰下げ受給」という選択もあります。
この制度では、66歳から75歳までの間で受給開始時期を遅らせると、その分だけ年金額が増える仕組みです。
増額率は1か月あたり0.7%。たとえば70歳まで5年間繰り下げると、65歳で受け取る場合と比べて42%増額された年金を生涯受け取ることができます。
最大で75歳まで繰り下げれば、84%増にもなります(昭和27年4月1日以前生まれの方は最大42%)。
この制度は、以下のような方に向いています。
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長寿の家系で、自分も長く生きる可能性が高い
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65歳以降も仕事を続けていて収入がある
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他の収入源があり、すぐに年金を必要としない
ただし、繰下げにも注意点があります。
繰下げた分だけ年金の受給が遅れるため、短命だった場合は損になる可能性があります。
また、繰下げ期間中は振替加算や加給年金が受け取れないという制約もあります。
さらに、繰下げを申し出るには手続きが必要であり、放っておけば自動で増額されるわけではありません。
申請のタイミングを逃さないよう注意しましょう。
62歳からもらえる年金の種類と対象者
「65歳まではまだ先。でも62歳からもらえる年金はあるの?」という方も多いでしょう。
それは「特別支給の老齢厚生年金」です。
これは、厚生年金に1年以上加入していて、かつ昭和36年4月1日以前に生まれた男性(女性は昭和41年4月1日以前生まれ)が対象です。
支給開始年齢は、生年月日によって60〜64歳の間で段階的に変化します。
この特別支給は、定額部分+報酬比例部分の2本立てになっていますが、要件によっては報酬比例部分だけ受け取れるケースもあります。
なお、現代では多くの人が65歳支給の対象となっているため、この制度を活用できる方は徐々に減少しています。
ただし、該当する年代の方は、通常の老齢年金よりも早く収入が得られるメリットがあります。
昭和35年生まれの人の年金受給開始年齢は?
昭和35年生まれの方(男性)であれば、特別支給の老齢厚生年金が62歳から開始されるスケジュールになっています。
これは、「報酬比例部分」のみの支給で、65歳になると老齢基礎年金と老齢厚生年金(本来分)を受け取れるようになります。
ただし、老齢基礎年金についてはあくまで65歳からが原則であり、それ以前に受給するには繰上げ申請が必要です。
ご自身の受給開始年齢が気になる方は、日本年金機構から届く「ねんきん定期便」や「年金見込額試算」などを活用すると、具体的なスケジュールや受給額を把握できます。
女性の年金支給年齢は男性と違う?
一昔前は、年金の支給開始年齢が男女で異なることもありましたが、現在では原則男女ともに65歳からの受給となっています。
ただし、「特別支給の老齢厚生年金」については例外があり、女性の方が5年遅れて支給開始年齢が設定されています。
たとえば、昭和41年4月1日以前生まれの女性は、この制度の対象であり、60歳~64歳の間に年金を受け取れる場合があります。
年金制度は改正が重ねられてきたため、自分の生年月日によってどの制度が適用されるかが異なります。
特に女性は、「専業主婦だった期間が長い」など個別の事情が反映されやすいため、年金記録の確認がより重要です。
特別支給の老齢厚生年金とは?もらえない人の特徴
「特別支給の老齢厚生年金」は、上記の通り、昭和36年4月1日以前生まれの男性、昭和41年4月1日以前生まれの女性を対象とする制度です。
これにより、65歳前から報酬比例部分や定額部分の年金を受け取ることができます。
ですが、以下のような人はこの制度の対象外となるため、特別支給を受けられないので注意しましょう。
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厚生年金の加入期間が1年未満だった人
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昭和36年4月2日以降生まれの男性
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昭和41年4月2日以降生まれの女性
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退職していないため、厚生年金の被保険者資格を継続中の人(特例適用外)
この制度が存在する背景には、「支給開始年齢の段階的引き上げ」が関係しています。
現在40代以下の方には無関係な制度ですが、対象となる方にとっては、生活設計に大きく関わる大切な収入源です。
年金はいつからもらうのが得?寿命とのバランスシミュレーション
「結局、年金は早くもらった方が得なのか、それとも遅らせた方がいいのか?」
これは非常に多くの方が抱える疑問です。
寿命や生活スタイルによって異なるため、一概には言えません。
繰上げ受給は早くから年金を受け取れる反面、受給額が一生減額されます。
一方、繰下げ受給は遅れて支給される代わりに、年金額が一生増額されます。
仮に、65歳から月額10万円の年金を受け取れるとした場合のシミュレーションをしてみましょう。
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60歳から繰上げ(24%減):月7.6万円×25年(85歳まで)=約2,280万円
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65歳から通常受給:月10万円×20年(85歳まで)=約2,400万円
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70歳から繰下げ(42%増):月14.2万円×15年(85歳まで)=約2,556万円
このように、85歳を超えて長生きすればするほど、繰下げの方が得になるという構図です。
ただし、生活費や医療費、持病の有無なども判断材料に入れた上で、「ライフプランに合った選択」をすることが大切です。
年金は60歳と65歳どちらが得?具体的に比較してみた
上記のように、60歳からの繰上げ受給と65歳からの通常受給のどちらが得かは、寿命や働き方に大きく依存します。
ここでは、よりわかりやすくメリット・デメリットの比較をしてみましょう。
60歳から年金をもらう場合のメリット
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早い時期から安定した収入を確保できる
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働けなくなった時の生活資金として安心
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健康で元気なうちに年金を活用できる
デメリット
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減額率が最大24%(昭和37年4月2日以降生まれの方)
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減額は一生続く
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障害年金や遺族年金の一部制度が使えなくなる可能性あり
65歳からもらう場合のメリット
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減額されず、満額を受け取れる
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他の年金制度との併用にも柔軟に対応できる
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長生きするほど受給総額が多くなる
どちらを選ぶかは、「自分の生活費がどれだけ必要か」「他にどれくらい資産や収入があるか」を基に総合的に判断するのがポイントです。
申請しないともらえない年金とは?自動じゃない制度に注意
年金は、条件を満たせば自動的にもらえるわけではありません。
多くの方が誤解している点ですが、自ら申請しないと支給されない制度がいくつかあります。
たとえば老齢基礎年金や老齢厚生年金は、65歳になった段階で自動的に支給されることはなく、申請が必要です。
日本年金機構から送られてくる「年金請求書」を使って、自身で手続きを行わなければなりません。
また、以下のような年金も「申請しないともらえない」制度の代表例です。
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遺族年金:受給対象でも、申請しなければ一切支給されません
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障害年金:診断書などの提出が必須で、自発的な手続きが必要です
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年金生活者支援給付金:収入や課税状況によっては受給可能ですが、申請が前提です
なお、請求の時効は5年です。
遡っての受給も5年までに制限されているため、申請が遅れた分の年金が「もらえなくなる」リスクもあります。
共済年金の受給年齢は?公務員や教職員はどうなる?
かつて存在した「共済年金」は、国家公務員・地方公務員・私立学校教職員などが対象の制度でしたが、2015年に厚生年金へ統合されました。
現在は、共済年金に加入していた期間も、厚生年金の一部としてカウントされます。
したがって、支給開始年齢も原則として65歳からになります。
ただし、旧共済組合加入者については、一定の経過措置があり、特別支給の老齢厚生年金の対象となる場合もあります。
注意点として、共済組合独自の加算年金(職域加算など)があった方は、繰上げ受給を選ぶと一部が減額または支給停止される可能性があります。
また、繰下げを希望する場合は、厚生年金部分と共済年金部分を同時に繰下げ申請する必要があるため、事前確認が重要です。
年金特別給付金の対象者とは?条件と申請方法
年金生活者を対象とした「年金生活者支援給付金」という制度があります。
これは、一定の所得以下の方に対して、年金に上乗せして支給される給付金です。
対象となるのは、低所得の高齢者の生活を支えることを目的に作られた制度です。
給付金の対象者となるには、次の3つの条件をすべて満たしている必要があります。
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老齢基礎年金の受給者であること(65歳以上)
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同一世帯の全員が住民税非課税であること
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前年の公的年金収入とその他の所得の合計が、一定額以下であること
具体的な年収の上限額は以下の通りです(2024年度時点)。
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昭和31年4月2日以降生まれの方:88万9,300円以下
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昭和31年4月1日以前生まれの方:88万7,700円以下
給付金の額は、老齢基礎年金を満額受給している場合で月額5,000円前後です。
決して大きな金額ではありませんが、生活費の一部として活用できます。
なお、給付金は申請をしないと受け取れません。
年金受給が始まった後に、必要な書類とともに申請手続きを行う必要があります。
対象になりそうな方は、必ず年金機構や市区町村の窓口で確認しましょう。
2025年の年金支給日はいつ?偶数月15日のしくみをチェック
年金の支給日は、意外と忘れがちなポイントです。
年金は毎月ではなく、偶数月の15日に2か月分がまとめて支給されるという独特の仕組みになっています。
たとえば、4月15日に支給されるのは「2月分と3月分」の年金です。
また、15日が土日祝日にあたる場合は、その直前の平日が支給日になります。
2025年の年金支給日は以下のとおりです。
年金支給日に口座から年金を引き出したい方は、カレンダーに書いておきましょう。
年金支給日 | 支給対象月 |
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2025年2月14日(金) | (2024年)12月分、(2025年)1月分 |
2025年4月15日(火) | (2025年)2月分、3月分 |
2025年6月13日(金) | (2025年)4月分、5月分 |
2025年8月15日(金) | (2025年)6月分、7月分 |
2025年10月15日(水) | (2025年)8月分、9月分 |
2025年12月15日(月) | (2025年)10月分、11月分 |
このサイクルを把握しておくことで、「年金がいつ入るのかわからない」といった不安が軽減されます。
また、生活費の計画や大きな支出の予定を立てる際の基礎情報にもなります。
なお、振込口座を変更したい場合や、支給が停止・変更された場合の手続きは、必ず事前に日本年金機構に連絡をすることが重要です。
年金の引かれるもの・税金・計算シミュレーション
年金にかかる税金は?所得税と住民税の基本
年金は「所得」として扱われるため、一定額を超えると所得税や住民税の課税対象になります。
つまり、「年金=非課税」というイメージは正しくありません。
まず、年金にも「公的年金等控除」という非課税枠があります。
これは年齢によって異なり、65歳以上の場合は以下のようになっています(2024年度基準)
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年金収入が年額110万円以下 → 所得税・住民税ともに非課税
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年金収入が110万円を超える → 控除額を超える部分に課税
たとえば、年金収入が年間150万円だった場合、110万円の控除を引いた残り40万円に対して課税されることになります。
さらに、他の収入(アルバイト、家賃収入など)がある場合は、合算して課税対象となります。
注意したいのは、源泉徴収されている場合でも、確定申告が必要になるケースがあることです。
特に医療費控除や寄附金控除などを受けたい方は、自ら申告することで税金が戻ってくる可能性もあります。
年金から引かれるもの一覧【保険料・介護保険料など】
年金を受け取る際には、そのまま全額が振り込まれるわけではなく、いくつかの費用が天引きされることがあります。
主に次の3つが代表的です。
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介護保険料
65歳以上の方は、介護保険第1号被保険者となり、原則として年金から自動的に介護保険料が差し引かれます。金額は住んでいる市区町村や所得によって異なり、月額数千円〜1万円前後が一般的です。 -
健康保険料(後期高齢者医療保険料)
75歳以上(または一定の障害がある65歳以上)は、後期高齢者医療制度の対象となります。この保険料も、年金から差し引かれることが多くなります。 -
住民税(特別徴収)
年金収入に住民税が課される場合は、年金から天引きされる「特別徴収」という方式が適用されることがあります。ただし、課税対象でなければ天引きはありません。
結果として、実際に振り込まれる年金額は「額面より少ない」というケースが多く見られます。
家計を立てる上では、必ず「手取り金額」でシミュレーションするようにしましょう。
年金生活における健康保険・介護保険料の負担
年金を主な収入源として生活している高齢者にとって、健康保険や介護保険料は意外と大きな負担です。
特に、75歳以上で「後期高齢者医療制度」の対象になると、医療費の自己負担割合(1割〜3割)に加え、保険料が年金から差し引かれるようになります。
自治体ごとに金額は異なりますが、年額で10万円を超える人も珍しくありません。
また、介護保険料も住民税課税状況などで7段階以上に分かれ、低所得者層を除き年額数万円以上となるのが一般的です。
このように、見落としがちな「社会保険料の支出」は、年金生活の中でも固定的な出費になります。
あらかじめ「どのくらい引かれるか」を知っておくことで、無理のない老後設計ができるようになります。
年金を月15万円もらうにはどれくらい収入が必要?
「老後は月15万円くらいの年金がほしい」と考える人は多いです。
では、そのためにはどれくらいの現役時代の収入が必要なのでしょうか?
厚生年金に40年間加入し、会社員として勤務していた場合、月額15万円の年金を受け取るためには、平均年収約449万円が必要とされています(2024年度モデルケース)。
この試算には以下が含まれます。
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老齢基礎年金(国民年金)部分:約68,000円(満額)
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老齢厚生年金(報酬比例部分)+加算:約82,000円程度
専業主婦や自営業者は厚生年金に加入していないため、国民年金の範囲内(満額で月6〜7万円台)にとどまることがほとんどです。
その場合は、iDeCoや個人年金保険などの私的年金で補う必要が出てきます。
年金を月20万円もらうためのシミュレーション
「老後の生活費として月20万円くらい欲しい」という声もよく聞かれます。
では、月額20万円の年金をもらうには、現役時代にどのくらいの収入が必要かを見てみましょう。
厚生年金に40年間フル加入し続けた場合、月20万円の年金を得るためには、平均年収が約732万円必要とされます(賞与含む標準報酬月額ベース)。
以下がその内訳のモデルです。
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老齢基礎年金(国民年金の満額):約68,000円
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老齢厚生年金(報酬比例部分):約132,000円
合わせて月額20万円ほどになります。
これはあくまで「夫婦で年金生活をする場合」の目安であり、1人暮らしであっても家賃や医療費、食費、介護費用などを考慮すると月20万円の支出は珍しくありません。
現役時代の収入と加入期間が年金額を大きく左右するため、若いうちから老後の備えを意識しておくことが非常に大切です。
厚生年金の満額は44年でいくら?長期加入者の実例
厚生年金には、いわゆる「満額」という明確な基準はありませんが、44年間(528か月)加入し、かつ標準報酬が高水準だった人は、年金額が大きくなります。
たとえば、長期加入特例に該当する方(昭和24年4月1日以前生まれの男性など)で、会社員として44年間勤務していた場合、以下のような金額が見込まれます。
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老齢基礎年金:68,000円(満額)
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老齢厚生年金(定額部分+報酬比例部分):160,000円〜180,000円
合計で月額22万〜25万円前後になることもあります。
ただし、これは「高所得で安定した勤務が続いた場合」の一例であり、途中で離職・転職・パート勤務があれば大きく変動します。
また、特例制度の対象年齢が限られているため、今後の世代には適用されないケースが多くなっています。
厚生年金を40年間払ったらいくらもらえる?
仮に、会社員として厚生年金に40年間加入した場合にどのくらいの年金が受け取れるか、標準的なケースを見てみましょう。
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平均年収が450万円(標準報酬月額38万円)だった場合
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厚生年金の報酬比例部分:約100,000円〜110,000円
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老齢基礎年金(満額):約68,000円
この場合、合計で月額17万〜18万円程度の年金が想定されます。
年収がさらに高ければ、それに応じて厚生年金部分は増額されます。
なお、厚生年金には「上限」があるため、非常に高い年収でも年金額が無制限に増えるわけではありません。
また、支給額は物価や賃金変動によって毎年見直されます。
専業主婦の年金はいくら?第3号被保険者の仕組み
いわゆる「専業主婦」の方が気になるのは、「自分はどれくらい年金がもらえるのか?」という点でしょう。
専業主婦の多くは、配偶者が厚生年金に加入していることで第3号被保険者として国民年金に自動的に加入しています。
この場合、保険料を自分で支払っていなくても、国民年金の保険料を納めたとみなされる仕組みになっており、満額受給の対象になります。
具体的には、20歳から60歳までの40年間がすべて加入期間としてカウントされると、老齢基礎年金として約816,000円(年間)=月68,000円程度(2024年度)が支給されます。
注意点として、結婚後に第3号被保険者の届け出をしていないと、その期間が「未加入」扱いとなり、年金額が減ってしまう可能性があります。
過去の加入状況は「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認できます。
老齢基礎年金は月いくら?最新支給額と計算式
老齢基礎年金の支給額は、保険料を納付した期間や納付状況によって変わります。
2024年度(令和6年度)現在の満額は年額816,000円(月額68,000円)です。
支給額の計算式は以下の通りです。
816,000円 ×(納付月数+免除期間の一定割合)÷(40年×12ヶ月)
つまり、20歳から60歳までの40年間=480か月間、全額納付していると満額になります。
過去に保険料の一部免除や猶予を受けた期間がある場合は、その分は割合で減額されることになります。
また、納付していない「未納期間」は年金額にカウントされないため、老後の年金額を減らす大きな要因になります。
もし未納がある場合は、「追納」制度を活用して年金額を引き上げることも可能です。
参考2:CASIO「Keisan:公的年金等の控除額、雑所得の計算」
老後資金として年金はいくら必要?生活費から逆算
「年金だけで老後はやっていけるのか?」というのは、誰もが不安に感じるポイントです。
ここでは、実際にかかる生活費から逆算して、年金がどの程度必要かを考えてみましょう。
総務省統計局「家計調査」(2023年)によると、高齢夫婦無職世帯の平均支出は月約23.5万円。
これに対し、年金などの実収入の平均は約20万円前後とされています。
つまり、毎月3万円以上の赤字が発生している状況です。
この不足分を埋めるためには、次のような手段が考えられます:
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退職金や貯蓄を取り崩す
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私的年金(企業年金・iDeCo・個人年金など)を活用する
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65歳以降も働く
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固定費の見直しや生活費の削減
仮に月3万円の赤字が20年間続いた場合、不足総額は720万円になります。
これが「老後資金2000万円問題」としても知られる背景です。
もちろん、生活スタイルによって必要な金額は異なります。
住宅ローンの有無、医療費、介護費なども加味して、自分にとって必要な老後資金をシミュレーションしておくことが大切です。
参考:総務省統計局「家計調査」
2025年の年金支給額は上がる?最新の支給額をチェック
2025年度の年金額については、3年連続の引き上げとなりました。
日本年金機構によれば、2025年4月からの支給額(令和7年度)は以下のように改定される予定です。
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老齢基礎年金(満額・1人分):月額 69,308円(前年は68,000円)
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厚生年金(夫婦2人分の標準的年金額):月額 232,784円(前年は230,483円)
これは、賃金や物価の上昇に連動した「マクロ経済スライド」の仕組みによる調整です。
ただし、将来的には少子高齢化の影響で年金の実質的な購買力が下がる可能性もあり、常に見直しが行われています。
なお、国民年金の保険料も同年17,510円(月額)に引き上げられました。
現役世代にとっては、支払額が増えた分だけ将来の年金額が多少多くなる可能性もあります。
年金は毎年見直しがあるため、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」などでこまめに確認しておくと安心です。
よくある質問Q&A10選
Q1. 年金はいつからもらえるの?自動で支給される?
A. 年金の基本的な受給年齢は原則65歳からですが、自動的に支給されるわけではありません。65歳の誕生日を迎える3か月前を目安に、日本年金機構から送られてくる「年金請求書」に基づき自ら申請する必要があります。特に老齢基礎年金や老齢厚生年金は、請求しないと支給されないため注意が必要です。
Q2. 年金は何歳までもらえるの?支給が止まることはある?
A. 老齢年金は原則として生涯にわたり支給される「終身年金」です。年金が自動的に終了する年齢はなく、たとえ100歳を超えても支給され続けます。ただし、死亡や年金制度上の不正受給などが判明した場合は支給停止となることがあります。
Q3. 年金の受給年齢は選べるの?繰上げ・繰下げの違いは?
A. 年金は通常65歳から受給しますが、60歳から繰上げ受給や75歳まで繰下げ受給も選べます。60歳から受け取る場合は最大24%の減額、75歳からにすると最大84%の増額が可能です(昭和27年4月2日以降生まれの方)。年金をいつからもらうかは、健康状態や老後資金の状況をもとに総合的に判断しましょう。
Q4. 年金からは何が引かれる?手取りはどれくらいになる?
A. 年金からは主に介護保険料、健康保険料(後期高齢者医療保険料)、住民税などが差し引かれます。地域や所得によって異なりますが、月額1万〜2万円程度が天引きされることも。引かれるものを踏まえた上で「年金の手取り額」を把握することが、正しい老後設計につながります。
Q5. 年金に税金はかかる?非課税になるケースは?
A. 年金にも所得税・住民税がかかる場合があります。ただし、公的年金等控除により、65歳以上であれば年金収入が110万円以下であれば非課税となります。年金と他の所得を合算した上で、税金のかかり方を正しく計算する必要があります。
Q6. 年金は計算シミュレーションできる?簡単に確認する方法は?
A. 「ねんきんネット」や年金定期便を活用することで、将来の年金受給額を計算シュミレーションできます。iDeCoや企業年金を含めた老後資金全体を見通すには、FP(ファイナンシャルプランナー)や公的相談窓口での無料シミュレーションもおすすめです。
Q7. 年金だけで老後資金は足りる?平均的な生活費との差は?
A. 総務省の家計調査によると、高齢夫婦無職世帯の生活費は月約23.5万円、一方で年金などの実収入は約20万円。毎月約3〜5万円の赤字が発生しており、20年間で必要な老後資金は700万円〜1000万円超とも言われます。年金と老後資金のギャップを埋めるための備えが必要です。
Q8. 厚生年金は何年払えば満額もらえるの?
A. 厚生年金に関しては、国民年金と異なり「満額」という概念はなく、加入期間と報酬額によって支給額が決まる比例報酬制度です。目安として、40年間加入し、平均標準報酬月額が38万円程度であれば月額10万円以上の支給が見込まれます。
Q9. 年金は受け取りながら働いても大丈夫?減額される?
A. はい、年金を受け取りながら働くことは可能ですが、一定の条件下では在職老齢年金制度が適用され、年金が一部または全額停止されることがあります。特に60歳代前半の方や、月収と年金額の合計が基準額(47万円など)を超える場合は注意が必要です。
Q10. 年金を受け取る前に準備しておくべきことは?
A. 年金の受給申請に備え、保険料納付記録の確認、マイナンバーと本人確認書類の整備、配偶者や遺族の年金権の確認などが必要です。また、「いつからもらうか」「何歳までもらえるか」だけでなく、受給後の手取り額や老後資金全体の見通しをシミュレーションしておくと、より安心してリタイアメントを迎えられます。
年金はいつから・何歳までもらえる?引かれるものや税金の計算シミュレーション!のまとめ
最後にこの記事のポイントをまとめました。
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