
包み足・陰線・はらみ足──ローソク足を使ったテクニカル分析では頻繁に登場する3つの足型ですが、それぞれの違いを正確に理解できているでしょうか?形が似ていることから混同しやすく、判断を誤るとトレードに悪影響を及ぼすリスクもあります。

この記事では、それぞれの定義や相場での出現傾向、実戦での使い分け方を詳しく解説します。初心者でも迷わない見極め方を学び、より信頼性の高いエントリー判断に活かしていきましょう。
- 📊 包み足・陰線・はらみ足の違いがわかる
- 📊 シグナルごとの出現場面と注意点を理解できる
- 📊 初心者が混同しやすいパターンを整理できる
- 📊 実戦での見極め方や判断フローも学べる
基本をおさらい!3つのローソク足パターンの定義と違い
包み足とは?チャート上での特徴と意味
包み足とは、直前のローソク足の実体(価格の始値と終値の範囲)を、次の足が完全に包み込むような形状のことを指します。
特に反転のサインとして用いられることが多く、ローソク足のパターンの中でも注目度の高い存在です。
✅ 代表的なパターンは以下の2種類:
-
陽線包み足(Bullish Engulfing):前の陰線を大きな陽線が包み込む→上昇サイン
-
陰線包み足(Bearish Engulfing):前の陽線を大きな陰線が包み込む→下落サイン
包み足は単体で使うというよりも、「トレンドの終わり際」「サポート・レジスタンス」など環境と組み合わせて判断することが重要です。
陰線とは?陽線との違いと使い方
陰線とは、ローソク足の終値が始値よりも低い状態を示す足のことをいいます。
反対に、終値が始値よりも高ければ陽線です。
🔻陰線の特徴:
-
始値よりも終値が安く、「売り優勢」を示す
-
ヒゲ(上下の線)が長いと迷いや反転の可能性あり
-
長い実体の陰線は強い下落圧力を示唆
ただし、陰線=下落サインと短絡的に捉えるのは危険です。
トレンドの押し目や一時的な調整でも陰線は出現するため、前後の流れとあわせて判断することが基本です。
はらみ足とは?形状と市場心理の解説
はらみ足は、前のローソク足の実体の中に、次の足の実体が収まっている形状を指します。
つまり、2本目が1本目に“はらまれている”ように見えるのが特徴です。
はらみ足の出現は「迷い」を示すとされ、トレンドの終焉や転換の予兆とされるケースもあります。
🔍 たとえば…
-
前の足が大陽線、次の足が小陰線 → 上昇からの転換サインかも?
-
前の足が大陰線、次の足が小陽線 → 下落からの反発準備の可能性も
特に、はらみ足の後にブレイクアウトが発生する場合、明確な方向感が出る傾向があるため、FXや株式でも使われるシグナルの一つです。
包み足と陰線の関係性
「包み足」と「陰線」は混同されがちですが、本質的にはまったく異なる概念です。
-
陰線は1本の足が「始値より終値が低い」ことを示すだけの価格の動き
-
包み足は2本の足で構成されるパターンで、前の足の実体を次の足が包み込む関係性を示します
つまり、陰線が“価格の結果”なのに対し、包み足は“パターン”です。
✔ 例:
-
包み足が陰線を含むことはあるが、「陰線=包み足」ではない
-
包み足の中の1本目が陰線か陽線かによって、反転の方向性が変わる
このように、ローソク足の用語には「単体の意味」と「パターンとしての意味」があるため、文脈を理解することが重要です。
包み足とはらみ足の違いを視覚で理解
包み足とはらみ足は、どちらも2本のローソク足からなるパターンであるため、形だけ見るとよく似ています。
ですが、意味合いと発生タイミングは大きく異なります。
📊 主な違い
比較項目 | 包み足 | はらみ足 |
---|---|---|
形状 | 2本目の足が前の足を包み込む | 2本目の足が前の足にはらまれる |
市場心理 | 強い反転の勢いが出る可能性 | 方向感に迷いがあり、ブレイク前の静けさ |
出現傾向 | トレンド転換の明確な兆候 | 揉み合い・保ち合い相場で出やすい |
たとえば、上昇相場の終盤で陰線の包み足が出れば「強い売りの反転シグナル」となりやすく、逆に、はらみ足は「その後のブレイク方向で判断すべき状況」といえます。
実体とヒゲのバランスがシグナルを左右する理由
ローソク足において「実体」と「ヒゲ(上ヒゲ・下ヒゲ)」の長さは、相場の勢いや迷いを読み解く重要な手がかりになります。
🔍 ポイント:
-
実体が長い足:強い買いまたは売りの勢力が明確に表れている
-
ヒゲが長く実体が小さい足:方向感が定まらず、迷いのある相場状況を示す
たとえば、「陰線の包み足」が出現していても、ヒゲが長すぎて実体が短ければ、本当に反転の圧力が強いのか疑わしい場合もあります。
逆に、ヒゲが短く、実体がしっかりと包み込んでいる場合はシグナルの信頼性が高いとされます。
そのため、ローソク足をパターンだけで判断せず、ローソク1本1本の“構造”を観察することが重要です。
初心者が混同しやすいローソク足パターンとは?
ローソク足は視覚的に理解しやすい反面、類似した形状が多く、混同しやすいのが難点です。
特に初心者の方が混同しやすいのは次のような組み合わせです。
✔ よくある混同例:
-
包み足とピンバー(長いヒゲの1本足)
-
はらみ足とコマ足(小さな実体)
-
十字線とコマ足の中間的な形
また、陰線と陰線包み足のように、「単体」と「パターン」が名前で重複することで混乱することもあります。
このような混同を防ぐためには、「ローソク足が単独で示す意味」と「他の足との関係性で生じるパターン」を、分けて理解する習慣をつけることが大切です。
【図解】3つのローソク足を並べて比較
包み足・陰線・はらみ足は、見た目がよく似ているため視覚での比較が最も理解しやすい方法です。
以下の図は、包み足・陰線・はらみ足の構造と違いを比較したものです。
以下のようにそれぞれの特徴を並べて比べると、違いがはっきりします。
📊 見比べポイント:
パターン名 | 形状の構造 | 見られる場面 | シグナルの方向性 |
---|---|---|---|
包み足 | 2本目の実体が前の足を完全に包む | トレンドの転換点 | 明確な反転シグナル |
陰線 | 始値より終値が安い1本の足 | どの局面でも出現 | 単体では方向を断定しにくい |
はらみ足 | 2本目の実体が前の足の中に収まる | 揉み合いや迷いの場面 | ブレイク前の予兆として使われる |
このように、出現タイミングや意味合いに大きな違いがあるため、しっかりと使い分けることが重要です。
それぞれが出現しやすい相場環境の違い
ローソク足のパターンは、すべての場面で同じように出現するわけではありません。
それぞれの形状が出やすい「相場の文脈」を理解しておくことで、無駄なエントリーを避けることができます。
✅ 出現傾向:
-
包み足:トレンドの終盤に出現しやすく、明確な転換サインになることが多い
-
陰線:通常の値動きの中で頻繁に出現(単体での判断は控えるべき)
-
はらみ足:ボラティリティが収縮している場面で出やすく、その後の急変動につながるケースも多い
たとえば、上昇相場の高値圏で陰線包み足が出た場合は警戒サインになりやすく、逆にはらみ足が連続して出ている場面では、ブレイク方向を見極めて戦略を立てるべき局面です。
他のローソク足シグナルとの違いと実戦での使い分け
ピンバー・たくり線との混同に注意
ローソク足の見た目が似ている代表例として、ピンバー・たくり線・包み足の3つがあります。
これらはすべて反転シグナルとして知られるパターンですが、構造や信頼性には明確な違いがあります。
パターン | 形状 | 意味 |
---|---|---|
ピンバー | 実体が非常に小さく、長いヒゲが目立つ | 相場の反発・だましの可能性あり |
たくり線 | 下ヒゲが極端に長い陽線 | 底値圏での反発シグナルとして使われる |
包み足 | 2本で構成、2本目が1本目を包み込む | トレンド転換の強力な兆候 |
見た目が似ていても、前後の流れ・ローソク足の位置・出現タイミングによってまったく異なる解釈になります。
そのため、「似ている=同じ」と捉えず、意味まで分解して理解することが実戦では不可欠です。
包み足の見極めに役立つチャート条件
包み足は、単に形が出現すれば機能するわけではありません。
そのパターンが信頼できるかどうかは、“どんな局面で出たか”によって大きく変わります。
✔ 判断ポイント:
-
トレンドの終盤で出現しているか?
-
サポート・レジスタンスラインに近いか?
-
出現直前にヒゲの多い足や迷いの足があったか?
こうした要素がそろって初めて、包み足=本当に信頼できる反転サインとして機能します。
さらに詳しく包み足の強さや勝率、パターン別チャート例を知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
このように、単なる形の出現だけでなく、相場背景を読み解いたうえでの判断が鍵です。
はらみ足が「だまし」になりやすいケース
はらみ足は、相場の迷いを示す代表的なパターンです。
その性質上、シグナルとしての“方向性”が曖昧で、だましに遭いやすい傾向があります。
📉 よくある「だまし」パターン:
-
上昇トレンド中に出たはらみ足 → ブレイクせず横ばい継続
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はらみ足後に一瞬ブレイク → すぐに反対方向へ急落(フェイクアウト)
これを防ぐためには、はらみ足の後に出る「確認足(ブレイク方向の陽線・陰線)」を待つことが大切です。
また、ボラティリティが極端に低い時間帯や重要指標発表前の相場では、シグナルが機能しないケースも多いため注意が必要です。
陰線の種類(長陰線・コマ足など)も要チェック
「陰線」とひとくくりにしても、実際にはいくつものバリエーションがあります。
その種類によって示す意味は大きく異なるため、見極めが重要です。
🔍 陰線の代表例と解釈:
種類 | 特徴 | シグナルの意味合い |
---|---|---|
長陰線 | 実体が非常に長い | 強い売り圧力、トレンド継続か急落のサイン |
小陰線 | 実体が短く上下にヒゲあり | 迷いの相場、方向感なし |
コマ足 | 実体もヒゲも非常に小さい | 動意薄、エントリー判断には不向き |
このように、陰線=売りと安易に判断するのではなく、その足がどれだけ「強く」または「弱く」売られているのかを分析することが大切です。
実体の長さとヒゲのバランスを観察することで、より精度の高い判断が可能になります。
【初心者向け】3パターンの実戦判断フロー
包み足・はらみ足・陰線を実戦でどう使い分けるかに悩む方は多いはずです。
ここでは、初心者でも迷わず判断できるフローチャート形式の思考手順を紹介します。
🌀 判断の流れ(例):
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ローソク足が2本連続の形か? → YESなら「包み足 or はらみ足」へ
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2本目が1本目を包み込む? → YES:包み足
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2本目が1本目の中に収まる? → YES:はらみ足
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単独の陰線なら、ヒゲの有無・実体の長さを見て迷い or 強さを判断
このように形状の違いとチャート背景を組み合わせることで、高い精度での判断が可能になります。
さらに、以下の記事では主要なローソク足シグナルを一覧で整理しているため、判断材料として活用してください。
MT4・TradingViewでのシグナル検出方法
実際のトレードで包み足やはらみ足を見つけるには、チャートソフトの機能やインジケーターを活用するのが効率的です。
🔧 代表的な方法:
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MT4/MT5:カスタムインジケーターで「包み足(Engulfing)」や「はらみ足(Inside Bar)」の自動検出が可能
-
TradingView:無料でも「ローソク足パターン認識」インジを利用可(日本語表記あり)
ただし、これらのツールは「出現を知らせるだけ」であって、精度や勝率の判断まではしてくれません。
そのため、以下のような検証記事を併せて参考にすることで、本当に信頼できるシグナルかどうかの判断に役立ちます。
こんな時は注意!混在シグナルの読み解き方
相場では、包み足やはらみ足、さらにはピンバーやコマ足など、複数のシグナルが同時に出現するケースも少なくありません。
このような混在した状態では、どのサインを優先して判断すべきかが悩みどころです。
📉 混在シグナル時のチェックポイント:
-
複数シグナルのうち、時間軸が上位のものを優先
-
トレンドの方向と一致しているシグナルを重視(例:上昇トレンド中の陽線包み足)
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過去の同一場面でのシグナル再現性を確認(チャートの履歴参照)
また、シグナルに頼りすぎると逆に振り回されてしまうリスクもあるため、常にインジケーターや環境認識と組み合わせた判断が不可欠です。
よくある質問Q&A10選
Q1:包み足と陰線は同じ意味ですか?
A:いいえ、包み足は2本の足で構成されるパターン、陰線は1本の足の価格動きです。
Q2:はらみ足が出たらすぐにエントリーしてもいいですか?
A:推奨されません。ブレイク後の確認が重要です。
Q3:包み足はいつも反転サインになりますか?
A:なりません。相場環境によっては機能しないこともあります。
Q4:陰線だけで売りエントリーしてもいいですか?
A:単体では弱いため、他の要素と併用が必要です。
Q5:ヒゲが長いローソク足はどんな意味がありますか?
A:迷い・反発・勢いの失速などを示すことがあります。
Q6:MT4で包み足を表示するにはどうすればいいですか?
A:カスタムインジケーターの導入が必要です。
Q7:たくり線と包み足の違いは何ですか?
A:たくり線は1本の長い下ヒゲの陽線、包み足は2本セットで構成されます。
Q8:はらみ足はエントリーのタイミングに向いていますか?
A:方向性が出にくいため、タイミングというよりブレイク確認用に適しています。
Q9:コマ足と陰線の見分け方は?
A:実体のサイズが違います。コマ足はほぼ同値で引けるため非常に小さいです。
Q10:これらのシグナルはFX以外でも使えますか?
A:はい。株式や仮想通貨でも共通して利用されています。
【FX初心者向け】包み足・陰線・はらみ足の違いをやさしく解説!のまとめ
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