
本記事は、「70歳からの資産運用」や「新NISA」に興味をお持ちの方に向けて、70代からでも安心して始められる老後資金の活かし方を丁寧に解説します。
定年後に入った財形貯蓄の扱いや、新制度の非課税メリットをどう活用すべきか、投資初心者でもわかるように具体的な選択肢を紹介。
老後の生活を豊かに保つためには、貯めるだけでなく「守りながら育てる」資産運用がカギとなります。
新NISAの正しい知識と失敗しないコツを詳しくお伝えしていきます。
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70歳からの資産運用の始め方がわかる
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新NISAの仕組みと活用法が理解できる
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老後資金を安全に運用するコツが学べる
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財形貯蓄の活用方法がわかる
- 70歳からの資産運用と新NISA活用術
- 70歳からの資産運用も遅くない理由とは?
- 新NISAは70代でも始められますか?
- 70代が新NISAを活用すべき3つの理由
- 新NISAの年齢制限はある?高齢者の注意点
- 70代の資産運用で「財形貯蓄」はどう活かせる?
- 積立NISAと新NISA、70代におすすめはどっち?
- 「70代 積立NISA」で得られる利益のリアル
- 70代でNISAを始めるデメリットとは何か?
- 新NISAは貯金の代わりになる?現金との違い
- 70歳から始める資産運用で避けたい落とし穴
- NISA貧乏とは?高齢者が陥りやすい注意点
- 国債とNISAはどちらが良い?70代向け比較
- 70代での「おすすめ銘柄」選びのコツ
- 70代から始める人が気をつけるべき税制メリットと注意点
- 老後資金を守り増やす!70代の資産運用戦略
70歳からの資産運用と新NISA活用術
70歳からの資産運用も遅くない理由とは?
70歳からの資産運用は決して遅くありません。
高齢期における資産運用は、老後の生活資金を補完し、経済的な安心感を高める重要な手段です。
特に日本では平均寿命が延びており、70歳以降も長い人生が続くことが予想されます。
そのため、資産を適切に運用し、インフレや医療費の増加に備えることが求められます。
具体的な例として、定期預金の金利が低迷している現状では、預金だけでは資産の目減りを防ぐことが難しい状況です。
一方、リスクを抑えつつも一定のリターンを期待できる投資信託や国債などを活用することで、資産の維持・増加を図ることが可能です。
新NISAは70代でも始められますか?
新NISA(少額投資非課税制度)は70代でも始めることが可能です。
新NISAは年齢制限がなく、成人であれば誰でも利用できる制度です。
これにより、投資から得られる利益が非課税となり、高齢者にとっても魅力的な選択肢となります。
例えば、新NISAを活用して投資信託を購入し、その運用益が非課税となることで、手取りのリターンを増やすことができます。
ただし、投資にはリスクが伴うため、自身のリスク許容度や投資目的を明確にし、慎重に商品を選択することが重要です。
70代が新NISAを活用すべき3つの理由
70代の方が新NISAを活用すべき理由は以下の3つです。
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非課税メリットの享受:新NISAを利用することで、投資から得られる配当金や売却益が非課税となり、手取り収益が増加します。
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資産の目減り対策:低金利環境下では預金の利息が期待できないため、投資を通じて資産の増加や維持を図ることが可能です。
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柔軟な資産運用:新NISAでは多様な金融商品に投資でき、自身のリスク許容度や投資目的に応じた運用が可能です。
具体的には、新NISAを利用して安定した配当が期待できる株式や、リスク分散が図れる投資信託に投資することで、老後の収入源を増やすことができます。
新NISAの年齢制限はある?高齢者の注意点
前述した通り、新NISAに年齢制限はありません。
成人であれば何歳でも口座を開設し、利用することが可能です。
ですが、高齢者が新NISAを利用する際には以下の点に注意が必要です。
70代の資産運用で「財形貯蓄」はどう活かせる?
結論として、70代の方が新たに財形貯蓄を始めることはできません。
財形貯蓄制度は、主に現役世代の勤労者を対象とした制度であり、一般的には退職後の高齢者は利用できません。
ですが、現役時代に積み立てた財形貯蓄がある場合、その資金を老後の生活資金や新たな投資資金として活用することが可能です。
具体的には、財形貯蓄を解約して得た資金を、新NISAを活用した投資に回すことで、非課税のメリットを享受しつつ資産運用を続けることができます。
ただし、投資にはリスクが伴うため、資金の使途や投資先の選定には慎重な判断が求められます。
積立NISAと新NISA、70代におすすめはどっち?
70代の方には「新NISA(成長投資枠)」の方が向いているケースが多いです。
理由は、積立NISAは20年間の長期投資が前提であり、70代から始めるには非課税期間を十分に活かしきれない可能性があるためです。
積立NISAと新NISAの主な違い
項目 | 積立NISA | 新NISA(成長投資枠) |
---|---|---|
年齢制限 | なし | なし |
非課税期間 | 最長20年 | 無期限(2024年以降制度) |
年間投資上限 | 40万円 | 最大240万円 |
投資スタイル | コツコツ積立向き | 一括投資・分散投資にも対応 |
向いている年齢層 | 20~50代の長期投資層 | 60代以降の資産活用にも対応 |
70代の場合、資産の「成長性」よりも「安定性」や「使いやすさ」が重視されます。
非課税期間が無期限になった新NISAは、投資後いつでも利益確定しても税金がかからないという柔軟さがあります。
短期~中期で資産を活用したい高齢層にこそ適した制度といえるでしょう。
「70代 積立NISA」で得られる利益のリアル
積立NISAは、毎月決まった額を長期的に投資し、複利で資産を増やす仕組みです。
とはいえ、70代からスタートする場合、非課税期間が20年とはいえ、運用期間が実質10年以下になる可能性もあります。
シミュレーション:70代から積立NISAを10年間活用した場合
-
毎月の積立額:33,000円(年間約40万円)
-
想定利回り:年4%
-
投資期間:10年
→ 約495万円の元本が、約600万円程度に増加(税金ゼロ)
これは魅力的な数字ではありますが、元本が少ない場合や運用期間が5年程度にとどまると、得られる利益は限定的となります。
70代から積立NISAを活用する場合は、相続対策や資産管理の視点も加味して活用方法を検討する必要があります。
70代でNISAを始めるデメリットとは何か?
新NISAをはじめとする制度は多くのメリットがありますが、70代の方が始める場合には以下のようなデメリットも存在します。
-
短期間でリターンを出すにはリスクが高い
老後資金を守る必要がある一方で、投資には元本割れリスクがつきものです。 -
生活資金とのバランスが必要
使えるお金をすべて投資に回してしまうと、医療費や介護費の増加に対応できなくなる可能性があります。 -
商品理解が難しい場合がある
金融商品の説明や契約内容が複雑で、高齢者にとっては把握しにくいケースもあり、詐欺的商品との見分けも難しくなります。 -
判断力の低下リスク
年齢とともに判断力や記憶力が低下する可能性があり、運用管理が難しくなる場面もあるため、家族との連携や信託制度の活用も検討が必要です。
新NISAは貯金の代わりになる?現金との違い
新NISAと貯金は、目的も性質もまったく異なります。
新NISAはあくまでも「投資制度」であり、元本保証がない一方で、増える可能性を持っています。
一方、銀行預金は元本保証がある安心な資産保管手段です。
比較項目 | 新NISA | 銀行預金 |
---|---|---|
元本保証 | なし | あり |
利回り | 投資先により異なる(平均3〜6%) | 0.001%〜0.02%程度(2025年現在) |
流動性 | 基本的に高い(商品による) | 非常に高い |
非課税メリット | あり(売却益・配当など) | なし |
リスク | 市場変動による元本割れリスクあり | ほぼなし |
新NISAは「貯金の代わり」ではなく、「貯金で増やせない資産を育てる選択肢」として捉えるのが正しい理解です。
生活資金は預金に、余裕資金はNISAで運用する、といった住み分けが安心です。
70歳から始める資産運用で避けたい落とし穴
70歳から資産運用を始める際に避けるべき代表的な落とし穴は次のとおりです。
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投資目的の不明確さ
「何のために資産運用するのか」が曖昧なまま始めると、判断がブレてしまいます。 -
生活資金まで投資に回してしまう
老後の基本生活費や緊急資金を確保せずに投資してしまうと、急な出費に対応できません。 -
ハイリスク商品に手を出す
短期での大きなリターンを狙って新興国株やレバレッジ型商品を購入するのは危険です。 -
情報の鵜呑み
ネットやSNSの情報を無批判に信じてしまうと、誤った判断を招きます。 -
家族に相談しない
高齢期の資産運用は、いざというときに家族に助けを求めやすいよう、事前に情報を共有しておくことが大切です。
NISA貧乏とは?高齢者が陥りやすい注意点
「NISA貧乏」とは、NISA口座で投資しているが、元本割れや運用損によって逆に生活が苦しくなってしまう状態を指す俗語です。
特に高齢者が陥りやすい要因は以下の通りです。
-
生活資金をNISAに回しすぎた
非課税枠をフル活用しようとして生活資金まで投資に使い、取り崩しに困るケースがあります。 -
高リスク商品で損失が拡大
資産を大きく増やしたいという思いから、ボラティリティ(値動き)の激しい銘柄に偏った運用をすることで損失を出すパターンです。 -
相場の急変時にパニック売り
暴落時に焦って売却してしまい、損失が確定してしまう「安売り損」の典型例です。
運用の基本は「生活を支えるための資産防衛」。利益に執着せず、守る意識が必要です。
国債とNISAはどちらが良い?70代向け比較
「資産を守りながら確実に運用したい方は国債」「非課税メリットを活かして資産を増やしたい方はNISA」と使い分けるのが理想です。
70代という年代は、積極的な増やし方よりも「減らさずに守る」ことが中心となるため、双方の特性を理解した上で目的別に選ぶ必要があります。
国債と新NISAの比較表(70代向け)
比較項目 | 個人向け国債(変動10年) | 新NISA(成長投資枠など) |
---|---|---|
元本保証 | あり(※中途解約制限あり) | なし(元本割れリスクあり) |
利回り(2025年) | 年0.5~0.7%程度 | 年3~7%程度(市場動向による) |
非課税メリット | 利子は課税対象(20.315%) | 配当・売却益すべて非課税 |
流動性 | 1年以内解約でペナルティあり | いつでも売却可(商品による) |
向いている人 | 超保守的な運用を希望する人 | ある程度リスク許容がある人 |
国債は元本保証があり、安全性が高い点が最大の魅力ですが、インフレに弱く、資産を増やす力はほとんどありません。
逆にNISAは元本保証がない代わりに、高いリターンと税制優遇の恩恵を受けられるため、資産を運用しながら減らしたくないという人には有効です。
どちらかを選ぶのではなく、「生活資金 → 国債」「余裕資金 → 新NISA」と目的に応じた使い分けが理想です。
70代での「おすすめ銘柄」選びのコツ
70代が新NISAなどで投資をする際に重要なのは、「安定性」と「分配金収入(配当)」を重視した銘柄選びです。
若年層のように高成長を狙うのではなく、リスクを抑えつつ着実に資産を運用することが求められます。
ポイント① 高配当株・インフラ系・公益企業
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例:日本たばこ産業(JT)、東京電力、NTTグループなど
-
景気に左右されにくく、安定的な配当が期待できる銘柄。
-
年4~6%の配当利回りも狙える銘柄が多数。
ポイント② インデックス型のETF(国内・全世界)
-
例:日経225連動型ETF、eMAXIS Slim 全世界株式など
-
自分で個別株を選ばなくても、分散投資が可能。
-
長期で保有しても比較的ブレが少ない商品。
ポイント③ 分配型の投資信託(毎月・隔月分配)
-
仕組みを理解してから購入すれば、年金にプラスするような収入源として活用可能。
【銘柄選びの注意点】
-
ネット証券のランキングだけで選ばない。
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必ず「企業の安定性」「配当履歴」「信託報酬」などを確認。
-
迷ったときは、金融機関の無料相談やファイナンシャルプランナーの意見も活用する。
「銘柄=投資先」ではなく、「収入の柱を1本増やす」という視点で考えると、自分に合った選択が見つかりやすくなります。
70代から始める人が気をつけるべき税制メリットと注意点
新NISAは70代でも「非課税」という税制メリットを最大限活かせる制度です。
ですが、制度の仕組みや使い方によっては、思わぬ落とし穴に陥るケースもあります。
税制メリット
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売却益・配当が完全非課税
通常は約20.315%かかる税金が一切かかりません。たとえば、年間10万円の配当であれば、通常は約2万円が税金で引かれますが、NISA口座内なら全額受け取れます。 -
贈与や相続対策にも使える
非課税で増やした資産を、家族にスムーズに引き継ぐ設計も可能です。「名義分散」で家族全体の税負担を軽減する工夫も。
注意点・デメリット
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NISA口座の損益通算は不可
他口座(特定口座・一般口座)と損益を相殺することができません。損失が出ても確定申告で取り戻せない点は注意が必要です。 -
制度の理解が浅いと失敗しやすい
「非課税=リスクがない」と勘違いしやすく、実際は運用損を出してしまうことも。制度と商品、両方の正確な理解が不可欠です。 -
「払い出しタイミング」に注意
投資信託の売却時期によっては、基準価格の変動で大きな損益が出ることがあります。資金の使い道や時期を逆算して計画的に取り崩すことが大切です。
老後資金を守り増やす!70代の資産運用戦略
高齢者が投資を始めるなら「低リスク分散」が基本
70代から投資を始めるなら、キーワードは「低リスク」と「分散」です。
なぜなら、老後資金は“増やすこと”より“減らさず維持すること”が優先されるフェーズに入っているからです。
低リスク・分散運用とは?
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複数の資産クラス(国内外株式・債券・REITなど)に分けて投資
-
一括投資を避け、複数回に分けて買う(ドルコスト平均法)
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リスクの高い商品(新興国株・レバレッジ型など)を避ける
たとえば、以下のような配分が70代に適したモデルポートフォリオになります。
資産クラス | 割合(目安) |
---|---|
国内債券・定期預金 | 50% |
国内株式・ETF | 20% |
海外株式(先進国) | 15% |
リート(国内外) | 10% |
金などのコモディティ | 5% |
投資対象が複数であれば、どれかが下落しても他でカバーできる「リスク分散」の効果が働きます。
特に老後は「1つの資産に頼らない構え」が命綱です。
70代からでも安心できる「老後資産の守り方」
70代の資産は、すでに積み上げた“成果”をどう守るかが重要です。
大きな失敗を避け、計画的に取り崩していくためには次の3点を意識しましょう。
安全資産と運用資産を分ける
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生活費3〜5年分は現金で確保(流動性重視)
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それ以上の余裕資金は新NISAなどで運用
取り崩し戦略を立てる
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毎月の支出と年金額を確認し、足りない分を取り崩す設計を
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必要に応じて分配型投資信託や配当株を活用
医療・介護費の備えを含める
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後期高齢期(75歳〜)を見据え、医療保険・介護保険を再チェック
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一部は「使わない資金」として安全資産でプール
資産は「育てる」だけでなく「計画的に使うこと」で初めて意味を持ちます。
安心感のある生活設計には、守る戦略も不可欠です。
月1万円×20年の積立NISA、どれだけ増える?
「月1万円を積立NISAで20年続けたらどれだけ増える?」という質問はよくあります。
70代からは20年投資できるケースは少ないかもしれませんが、お子さんやお孫さんの資産形成にも使える知識としてご紹介します。
積立NISAシミュレーション(年利4%想定)
項目 | 金額 |
---|---|
毎月の積立額 | 1万円 |
積立期間 | 20年 |
積立総額(元本) | 240万円 |
想定運用益(年4%) | 約135万円 |
合計資産 | 約375万円 |
この運用益には税金が一切かかりません(通常なら20%課税)。
つまり、NISAを活用すれば、「節税しながら時間を味方にする」ことで、少額からでも資産を増やすことが可能です。
70代ご自身が活用する場合も、5〜10年スパンで組んでみると効果的です。
新NISAで月3万円・月10万円積立したら将来いくらに?
70代の方でも、「余裕資金を月3万〜10万円ずつNISAに入れて運用したら?」というケースは十分考えられます。
以下はシンプルなモデルケースです。
月3万円を10年間運用(年利4%)
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元本:360万円
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想定運用益:約80万円
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合計:約440万円
月10万円を10年間運用(年利4%)
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元本:1,200万円
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想定運用益:約270万円
-
合計:約1,470万円
月3万円でもコツコツ積み立てれば、10年で80万円以上の非課税リターンを得られる可能性があります。
元本が多ければリターンも増えますが、「無理のない額」で始めることが大切です。
新NISAをやめたほうがいい人の共通点とは?
どんなに優れた制度でも、すべての人に合うわけではありません。
新NISAも、以下のような方にはあまり向いていない可能性があります。
元本割れを絶対に避けたい人
新NISAは元本保証ではないため、価格変動に耐えられない場合は精神的なストレスに。
短期で利益を出したい人
数ヶ月~1年でリターンを期待するような短期投資には向きません。短期トレードなら課税口座でやるほうが柔軟です。
商品知識がまったくない人
投資信託や株式の違いも理解していないまま始めると、誤った判断で損失を出しやすくなります。最低限の学習は必要です。
医療・介護費で資金流動性が必要な人
投資商品は即現金化できないこともあるため、すぐに資金が必要になる状況ではリスクがあります。
資産運用初心者でも始めやすい「ロボアドバイザー」活用法
結論から言えば、ロボアドバイザーは「資産運用に自信がない」「商品選びに迷う」70代の方にとって、非常に使いやすいサービスです。
難しい知識がなくても、診断に答えるだけで自動で最適な運用プランを提案してくれます。
主なロボアドバイザーの特徴
サービス名 | 特徴 |
---|---|
WealthNavi | リスク許容度に応じた国際分散投資 |
THEO(テオ) | 少額から始められ、老後資産にも対応 |
楽ラップ(楽天証券) | 手数料が明確、楽天ポイントとも連動 |
70代がロボアドバイザーを使うメリット
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運用先を自分で選ばなくてよい
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自動でリバランスしてくれる
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毎月の積立額や出金も柔軟に対応できる
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相続や取り崩しの相談がしやすい(窓口あり)
一方で、「手数料がやや高め(年0.7%程度)」というデメリットもあるため、運用総額や目的と照らし合わせて検討することが大切です。
70代の資産寿命を延ばす「取り崩し戦略」とは?
老後資金は、ただ貯めるだけでは不十分で「どう取り崩すか」が資産寿命を決めます。
70代以降は運用と取り崩しをセットで考える必要があります。
取り崩しの基本戦略
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生活費の固定費と変動費を把握する
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年金収入との差額を投資資産から補填
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取り崩す順番を工夫(下記図解)
資産取り崩しの優先順位
年金だけに頼らない!新NISAを活かす生活設計
70代の生活において「公的年金」は重要な柱ですが、それだけで十分という方は少数派です。
厚生労働省によると、夫婦2人世帯の平均年金支給額は約22万円/月で、平均支出(約26万~30万円)には届きません。
収支ギャップをどう埋めるか?
新NISAを活用して、以下のような生活設計を構築するのが理想です。
支出項目 | 年金で賄う | 新NISA活用の例 |
---|---|---|
住居・光熱費 | ○ | 配当株や分配型投資信託の収入で補完 |
食費・日用品 | ○ | |
医療費・交際費 | △ | 非課税で増やした資産の取り崩しに充当 |
趣味・旅行など | × | 投資収益を活用、楽しみの支出に |
「年金で日常生活を、NISAでプラスαの豊かさを」が現実的な活用法です。
医療・介護費に備える!高齢者向け運用プラン
70代以降は、医療費や介護費の支出が本格的に視野に入ってきます。
資産運用では、こうした将来の大きな支出に備えた「予防的ポートフォリオ」が不可欠です。
将来の医療・介護に必要な資金例
項目 | 想定費用(生涯) |
---|---|
医療費 | 約300~500万円 |
介護費(在宅) | 約400~800万円 |
介護施設入居 | 1,000万円以上も |
対応プラン
-
医療特約付きの保険見直し:すでに加入中の保険が「使える内容」か確認を
-
介護費は安全資産で確保:定期預金・国債など、即現金化できるものを充てる
-
投資収益で補填:不足分をNISA口座の運用益で補う
特に「施設入居費用」などのまとまった支出は、新NISAの売却益で計画的に対応できるよう、準備しておくと安心です。
よくある質問Q&A10選
Q1. 70歳からの資産運用は遅すぎますか?
決して遅すぎるということはありません。日本人の平均寿命は男性81歳、女性87歳で、人生100年時代ともいわれる今、70代はまだ「老後前半」と言っても過言ではありません。特に、インフレや年金支給額の実質目減りに備える手段として、適切なリスクを取った資産運用は効果的です。老後資金を守りながら活かす視点が重要です。
Q2. 新NISAは70代でも始められるのでしょうか?
はい、新NISA(2024年制度開始)は年齢制限がなく、70代でも問題なく始められます。現行制度では、成長投資枠とつみたて投資枠を合わせて年間360万円まで非課税で投資可能です。金融庁のガイドラインにも「成人であれば誰でも対象」と明記されています。新NISAは、70代の方にとっても老後資産の運用と非課税メリットを両立できる貴重な制度です。
Q3. 財形貯蓄をしていたのですが、老後資金に活用できますか?
財形貯蓄制度は原則として現役世代向けですが、すでに積み立てた財形資金は老後資金として活用可能です。特に「財形年金貯蓄」は、年金の上乗せとして活用しやすく、取り崩し計画と合わせて検討することで、長期的な生活資金の安定に貢献します。運用対象としては、新NISAに振り替えて分散投資に活かす選択肢もあります。
Q4. 70代でも積立NISAを始めるメリットはありますか?
積立NISAは非課税期間が20年間ありますが、70代から始める場合は「期間をフルに活用できない可能性」があります。それでも、年金+積立NISAで安定運用を目指すことで、資産の減少を抑える効果が期待できます。特に、家族の名義で活用し、相続対策の一環とする方法もあります。
Q5. 資産運用は怖いのですが、何から始めればよいですか?
まずは生活費や医療費の数年分を確保し、残った「余裕資金」を活用する形で始めるのが基本です。リスクの少ない国債やインデックス型の分散投資信託、あるいはロボアドバイザーの活用もおすすめです。70代からの資産運用では、「守りながら増やす」が基本姿勢です。
Q6. 新NISAの運用で失敗する人の特徴は?
よくある失敗例は、短期での高リターンを狙ってハイリスクな商品に手を出してしまうことです。特に、レバレッジ型ETFや新興国株などは値動きが大きく、70代の資産運用には不向きです。また、生活資金まで投資に回してしまうと、取り崩し時に資産が目減りしているリスクがあります。
Q7. 老後資金が2,000万円あれば安心ですか?
総務省や金融庁の統計によると、ゆとりある老後を送るためには月30万円前後の生活費が必要とされており、年金で足りない分を資産で補う必要があります。70代の平均寿命までを見越して「あと20年生きる」と仮定すると、2,000万円ではやや不足気味のケースもあります。新NISAなどを活用して資産寿命を延ばす工夫が求められます。
Q8. 新NISAは「貯金の代わり」として使えますか?
新NISAはあくまで「投資制度」であり、元本保証はありません。ですので、銀行預金のような貯金の代替にはなりません。とはいえ、現預金だけではインフレに対応しきれないため、分散投資での「準・貯金」として考える使い方なら現実的です。現金との役割の違いを理解することが重要です。
Q9. 70代でNISA口座を作ると、相続時に不利になることはありますか?
新NISA口座の資産は、相続時にいったん課税口座へ移管され、相続税の対象となります。つまり、相続時にはNISAの非課税メリットは失われます。ただし、生前贈与や名義分散によって相続税対策を講じることは可能です。相続を見据えるなら、FPや税理士に早めに相談することが大切です。
Q10. 70歳からの資産運用に適した銘柄や商品はありますか?
70代にとって最も重要なのは「安定」と「配当収入」です。高配当の国内株式や、信託報酬の低いインデックス投信、またバランス型の投資信託などが現実的な選択肢です。過去に好成績を収めた商品でも、手数料が高い、値動きが激しい、為替リスクが大きいものは避けるのが賢明です。投資信託の選定は、「中身」と「目的」が合っているかを軸に選ぶべきです。
70歳からの資産運用!70代でも新NISAを始められる?
最後にこの記事のポイントをまとめました。
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